企業の「想い」に触れる旅へ―おすすめの企業ミュージアム特集

なぜその企業の製品は選ばれ続けるのか。その答えは、企業の「想い」を形にしたミュージアムやショールームの中に隠されています。創業者の情熱を感じ、製品の歴史を辿るひとときは、企業や製品をより深く理解し、身近に感じるための大切な時間となるはずです。企業の核心に触れる体験が待つ施設を、具体的な展示内容とともに紹介します。

ニコンミュージアム(Nikon Museum)

本社の移転に伴い、2024年にリニューアルオープンしたのが新たな「ニコンミュージアム」です。100年を超えるニコンの歩みを、「伝統と革新」を象徴する製品や技術、そこに込められた想いをエピソードとともに体感できる施設となっています。
ニコンの原点である光学ガラスから、最新のデジタルカメラ、さらには産業を支える半導体などの製品まで、同社の多角的な事業と技術の粋を網羅的に紹介しています。

こちらのミュージアムでは、ニコンの事業を「コンシューマー(BtoC)」と「インダストリー(BtoB)」の両面から深く理解できる展示構成が特徴です。
エントランスでは、ニコンの原点である光学ガラスの歩みを展示。円形スクリーン映像が来館者を迎え、展示への期待感を高めます。メインとなる展示エリアでは、カメラの初号機から最新機種までが並ぶゾーンのほか、産業分野(半導体、自動車等)における製品を「みる」「うつす」「つくる」「はかる」という4つの動詞で分類。専門的な技術を直感的に分かりやすく伝える工夫が凝らされています。

140インチの大型スクリーンを備えたシアターゾーンでは、オリジナル映像の放映に加え、タッチパネルで歴代製品のカタログを閲覧できるなど、ファンにはたまらないコンテンツも充実しています。
最後にはミュージアムショップも併設されており、ここでしか手に入らないオリジナルグッズを通じて、来館の思い出を形に残すことができます。

ニコンミュージアム(株式会社ニコン)
住所:東京都品川区西大井1-5-20(株式会社ニコン本社内)
設計:三菱地所設計(設計監理)、surDL(ミュージアム設計監理協力)
施工:株式会社丹青社(制作・施工、映像制作)
撮影:御園生 大地
ウェブサイト:https://www.jp.nikon.com/company/corporate/museum/
※入館料:無料、予約:不要
※開館時間:10:00~17:30(最終入館は17:00まで)
※休館日:月曜日、日曜日、祝日および館の定める日
土曜日が祝日の場合は休館
※開館時間・休館日等の詳細は公式サイトをご確認ください。

ヨネックス大阪ショールーム(ヨネックス株式会社)

「独創の技術と最高の製品で世界に貢献する」をパーパスに掲げるグローバルスポーツブランド、ヨネックスが、東京・上海に続き、世界で3店舗目に開設したブランド発信拠点が「ヨネックス大阪ショールーム」です。2025年大阪・関西万博の開催に合わせ、国内外から多くの人々が集まる関西地区において、最新の情報とブランドメッセージを直接届けることで、新たなヨネックスファンを創出することを目的に誕生しました。

ヨネックスの「ものづくりへのこだわり」「最新テクノロジー」「スポーツの楽しさ」「プレイヤーを支える多様なサービス」を多角的に体感できる構成となっています。

シルバーを基調としたクールなデザインのエントランスを抜けると、中央にはヨネックスの革新の歴史や最新テクノロジーを語る「イノベーション展示」が配置されています。これを取り囲むように、バドミントン、テニス、ソフトテニス、スノーボード、ロードバイク、ゴルフなど、各カテゴリーの最新ギアやウェアが圧倒的なボリュームで展示されており、実際に製品を手に取りながらその技術力を体感できる構成です。

施設内には、最新ギアの性能を実際に試すことができるテニス・バドミントン・ゴルフ用の「試打スペース」も完備。また、ストリンギング(ガット張り)や刺繍、シューズフィッティングなどのプロフェッショナルなサービスを受けられるコーナーも設けられており、プレイヤーのパフォーマンスを支えるヨネックスの姿勢が伝わります。

さらに、スポーツイベントや試合観戦など多目的に活用できる「ブランディングホール」も備えており、地域やファン同士のコミュニティ拠点としての役割も果たしています。

ヨネックス大阪ショールーム
住所:大阪府大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 南館 地下1階
デザイン・設計、制作・施工:株式会社丹青社
撮影:株式会社 ナカサアンドパートナーズ
ウェブサイト:https://www.yonex-showroom.com/tokyo-showroom/osaka/index.html
※営業時間:11:00~21:00
※営業時間や休館日の詳細は公式サイトをご確認ください。

デンソーミュージアム(株式会社デンソー)

デンソーが創立75周年事業の一環として、本社内にあった従来の「デンソーギャラリー」を全面刷新し、リニューアルオープンしたのが「デンソーミュージアム」です。製品紹介が中心であった「ギャラリー」から、デンソーの成り立ちとアイデンティティを物語(ストーリー)として伝える場へと進化を遂げ、顧客やパートナーに向けて同社の軌跡と未来へのビジョンを訴求する拠点となりました。

「これまでと これからの 挑戦のストーリー」をコンセプトに、技術革新とモノづくりを通して社会課題に挑み続けてきたデンソーの情熱と、社員一人ひとりの志を体感できる施設となっています。

製品そのものの紹介以上に、その裏側にある「開発エピソード」や「人の想い」に焦点を当てた、情緒的な展示構成が大きな特徴です。

施設は「過去・現在・未来」を辿る5つのゾーンで構成されています。
創業期を伝える「ORIGIN」ゾーンでは、わずか3坪から始まった作業場を再現。困難に立ち向かった先人たちの熱い想いを、製品と言葉、人物像を重ね合わせてドラマチックに表現しています。続く「HISTORY」ゾーンでは、各時代の代表製品とともに、社会課題をいかに解決してきたかという「志」の物語を、ビジュアルと言葉のインデックスで惹きつける演出が施されています。

さらに「THE COLLECTION」ゾーンでは、長年モビリティ社会を支えてきた製品群に加え、モビリティ分野にとどまらない同社の意外な挑戦も紹介。そして「VISION STUDIO」は、デンソーの「今」と「未来」を映し出す現在進行形の技術発信拠点として、未来への期待感を醸成する空間となっています。

全体を通じて、75年間にわたる技術革新の裏にある社内外の仲間との強い絆や、未来に向けた揺るぎないアイデンティティを、五感を通じて深く理解できる構成となっています。

デンソーミュージアム
住所:愛知県刈谷市昭和町1-1(株式会社デンソー本社5号館3階)
企画、デザイン・設計、制作・施工:株式会社丹青社
撮影:株式会社 ナカサアンドパートナーズ
ウェブサイト:https://www.denso.com/jp/ja/about-us/corporate-info/museum/
※開館時間:9:30~17:00
※開館日:会社稼働日、第1土曜日(第1土曜日が長期休暇の場合は第2土曜日に開館)
※入館料:無料
※開館時間や予約方法等の詳細は公式サイトをご確認ください。

【番外編 】工場見学施設

工場に併設された見学施設では、製品ができるまでの過程とともに、企業の歩みや志を学ぶことができます。何気なく手にしている製品がより特別な存在として感じられるようになる―。そんな「発見」に満ちた工場見学施設をピックアップしました。

サントリー白州蒸溜所(サントリー株式会社)

山梨県の豊かな森に抱かれた「サントリー白州蒸溜所」が、開業50周年の節目に大規模なリニューアルを遂げました。サントリーの企業理念である「人と自然と響きあう」を具現化し、白州の森とウイスキーづくりの歴史を五感ですべて体感できる、新しい見学体験の場へと生まれ変わっています。
白州の深い森や蒸溜所が持つ「リアルな力」と調和するデザインが施され、訪れる人をウイスキーの奥深い世界へと誘います。
森の息吹を感じながら、ウイスキーが生まれるまでのストーリーに没入できる構成が魅力です。

ビジターセンターでは、白州の森を鳥の目線で眺めるようなジオラマ模型がゲストを迎え、施設全体の世界観を提示します。見学コースの目玉となる蒸溜棟やものづくり棟では、実物、映像、模型により発酵や蒸溜のプロセスが直感的に分かりやすく解説されています。役目を終えた歴史的な蒸溜窯の展示と、巨大スクリーンや立体音響による没入感あふれる演出で、蒸溜所の歴史と情熱を全身で体感することができます。

さらに、原酒の芳醇な香りが漂う見学貯蔵庫では、立ち並ぶ実物の樽の中に象徴的な「白州」のサインが配され、ブランドのアイデンティティを強く印象づけます。屋外のバードサンクチュアリでは、ウイスキーづくりに欠かせない南アルプスの天然水を育む「白州の森」そのものの魅力を体感でき、自然への感謝が深まる構成となっています。

細部に至るまでウイスキーづくりへのこだわりと自然との調和が息づく、美しく凛とした空間です。
見学の締めくくりには、併設された「セントラルハウス」に足を運んでみましょう。大きな窓から森の緑を望むテイスティングラウンジで、白州ブランドのほかサントリーウイスキーを試飲することができます。見学ツアーに参加した方だけが利用できる特別なバーでのひとときも、この施設を訪れる大きな醍醐味となっています。

サントリー白州蒸溜所
住所:山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
ディレクション、デザイン・設計、制作・施工、PM:株式会社丹青社
撮影:梶原 敏英
ウェブサイト:https://www.suntory.co.jp/factory/hakushu/
※営業時間:9:30~16:30(最終入場16:00)
休業日:年末年始、工場休業日
※施設見学は事前予約制です。詳細は公式サイトをご確認ください。

KIRISHIMA WALK FACTORY(霧島酒造株式会社)

宮崎県にある、霧島酒造の工場見学施設「KIRISHIMA WALK FACTORY」は、従来の「製造工程を見るだけ」の工場見学のイメージを一新した、独創的なブランディング発信拠点です。
「見えない裏側を見せる」をコンセプトに、焼酎造りに潜む“見えないこだわり”をアートやダイナミックな演出で表現。観光客から地域の方々、さらにはインバウンドまで、訪れるすべての人を「霧島焼酎」の深い魅力へと引き込む空間となっています。

エントランスに足を踏み入れると、まず圧倒されるのが4階まで吹き抜ける開放的な空間です。そこには書道家・李惠氏による高さ9メートルもの巨大な日本画が掲げられ、焼酎造りの源である大地と水、自然への感謝が描かれています。また、地元のシラス(火山灰)を用いた高さ10メートルの土壁が、原材料を育む都城の地層を表現しており、その迫力に期待感が高まります。

見学コースは、リアルな製造現場とバーチャルな体験がテンポよく組み合わされており、飽きることのない没入感を提供しています。
特にユニークなのが「焼酎シアター」です。焼酎の主役である「サツマイモ」の目線で物語が進む感動的なストーリー仕立ての映像は、普段何気なく手に取っている焼酎への愛着を一層深めてくれます。また、タンク内で行われる微生物の働きをミクロの世界で体験できるダイナミックな映像や、甕(かめ)の中を覗き込んで映像モニターを見る演出など、遊び心あふれる仕掛けが随所に散りばめられています。

原料であるサツマイモや水を試食できる「だれやめスポット」も用意されており、焼酎の原点を味覚で味わうことができます。
焼酎造りへの情熱をアートとテクノロジーと五感で体感できる、まさに「歩く(WALK)」楽しさに満ちた工場見学施設です。

KIRISHIMA WALK FACTORY
住所:宮崎県都城市志比田町5480番地
デザイン・設計、制作・施工、展示企画:株式会社丹青社
撮影:Blitz Studio/石井 紀久
ウェブサイト:https://www.kirishima-fg.jp/factory
※見学料:無料
※見学は事前予約制です。詳細は公式サイトをご確認ください。

この記事を書いた人
島谷 理絵 / 丹青社 マーケティング部

2008年丹青社に入社し、制作職としてイベント空間やビジネス空間の空間づくりに 関わった後、協業・共創活動に取り組んでいる。WEBマーケティング活動にも関わり、 コンテンツ制作を行っている。

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