コラム

企業における空間づくりとは?重要なポイントや事例などをご紹介

Date: 2024.09.12

現代のビジネス環境では、空間が企業のブランドイメージや従業員の生産性、顧客体験に直結する重要な要素となっています。本コラムでは、企業における空間づくりの概要や、具体的な方向性について詳しく解説していきます。さらに、空間づくりに欠かせない要素やステップ、そして丹青社が手掛けた事例を通じて、その実践方法を具体的にご紹介します。

企業における「空間づくり」とは?

はじめに、企業における空間づくりについて解説していきます。

空間づくりの定義

「空間づくり」とは、物理的なスペースの設計や配置だけでなく、使用者の心理的な要素も含んだ空間に対する総合的なアプローチを指します。具体的には、レイアウト、家具の選定、照明、音響、温度管理、色彩計画などが挙げられます。

空間づくりの重要性

企業にとって身近な「空間」としてオフィスが挙げられますが、単なる執務スペースとしての認識が強い傾向にあります。企業にとっての「空間」はオフィスにとどまらず、業態によってはさまざまな種類の空間を有することになるため、「空間づくり」は重要な取り組みの一つで多くの役割を果たします。

例えば、企業や商品、サービスの魅力やアイデンティティをあらゆる関係者に伝えることができます。空間での体験を通じて、顧客や訪問者はもちろん、従業員などあらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを図るメディアになりえます。それにより、コミュニケーションの活性化、創造性の向上、といった影響も期待できるでしょう。

空間づくりにおける方向性の種類

企業における空間づくりは、その目的や利用シーンに応じて様々な方向性があります。以下では、主要な種類について説明します。

商業空間

商業空間は、主に小売店やショッピングモールなどの商業施設を指します。照明や内装の色使いなどで顧客の購買行動が高まるような工夫や、顧客が自然と店舗内を回遊するような導線設計が求められます。

事例:商業空間

ビジネス空間

ビジネス空間は、オフィスや会議室などの業務を行う場所を指し、効率性と快適性が求められます。例えば、オープンオフィスの導入により、コミュニケーションの活性化を図ることや、リラックスできる休憩スペースを設けることで、従業員のストレスを軽減することができます。

事例:ビジネス空間

パブリック空間

パブリック空間は、公園や図書館、公共施設などの公共の場を指します。この空間づくりでは、誰もが利用しやすいデザインが求められます。バリアフリー設計はもちろん、視覚的に分かりやすいサインの設置などがその一例です。

事例:パブリック空間

ホスピタリティ空間

ホスピタリティ空間は、ホテルやレストラン、カフェなどのサービス業を指します。訪れる人々に心地良さや特別な体験を提供することが求められ、照明や家具の配置、音楽の選定や、インテリアデザインにおいて高級感やテーマ性を持たせることが重要です。

事例:ホスピタリティ空間

イベント空間

イベント空間は、展示会やコンサート、スポーツイベントなどの一時的な用途に使用される場所を指します。イベントのテーマや目的に合わせた柔軟なデザインが求められ、視覚的にインパクトのある装飾や、音響設備の配置などが重要です。

事例:イベント空間

文化空間

文化空間は、美術館や劇場、博物館などの文化施設を指し、展示物や公演の内容を引き立てるデザインが求められます。具体的には、照明の調整や、展示物の配置、観客席のレイアウトなどがその一例です。また、訪れる人々が文化や芸術を理解できるような工夫も重要です。

事例:文化空間

空間づくりの要素

続いて、空間づくりにおいて重要な要素を解説していきます。

デザイン・レイアウト

企業における空間づくりの基本となるのが、デザインとレイアウトです。特に、オフィスのデザインとレイアウトは、従業員の生産性やモチベーションに直結するため、色彩や照明、家具の配置などが重要な要素となります。加えて、オープンスペースを活用することで、日常的に使用する執務スペース外でもコミュニケーションが促進され、コラボレーションが活発になります。

機能性

空間づくりにおいて機能性も欠かせません。効率的な動線設計や、必要な設備の配置は業務の効率を大きく左右します。会議室や休憩スペースを適切に配置することで、従業員のストレスを軽減し、業務効率を向上させることができます。

インタラクティブな展示

インタラクティブな展示は、企業のブランドやメッセージを効果的に伝える手段です。デジタルサイネージやタッチパネルを活用することで、訪問者に対して魅力的な体験を提供できます。これにより、企業のイメージアップや顧客満足度の向上が期待できます。

インタラクティブ情報閲覧システム「VisualTiles®

テクノロジー

現代の空間づくりにはテクノロジーの活用が不可欠で、スマートオフィスの導入により、効率的な業務環境が実現します。

スマートオフィスとは、IoT(モノのインターネット)デバイス、センサー、クラウドサービス、AI(人工知能)など最新のテクノロジーを活用して、効率性と生産性を向上させるオフィス環境のことを指します。これにより、コスト削減や環境負荷の軽減などが期待できるほか、企業の競争力を高める重要な要素にもなるでしょう。

空間づくりのステップ

続いて、空間づくりの進め方について解説します。進め方のステップは大きく分けて「構想」「計画・設計」「制作・準備」「開業・運営」の4段階です。

構想

まず、開設の目的を共有し、開発コンセプトを立案します。その上で、立地、規模、来場者イメージ、予算、スケジュール、業務体制など、全体の計画を組み立て、必要に応じて既存施設の調査や分析も行います。

計画・設計

続いて、施設の構成、展示のシナリオ、訴求するコンテンツ、展示の手法、動線などを検討します。設備や仕様、各種工事の内容もこの段階で決め、広報計画や集客含めた広告宣伝などのPR施策、実施するイベントなどの運営計画も進めます。

制作・準備

次に、展⽰内装⼯事、設備⼯事が始まります。計画内容通りに工事が進捗しているか、設計監理を行い、造作やグラフィック、画像や映像などの制作物を仕上げます。運営マニュアルの作成やスタッフの募集も同時に進め、開業準備も整えます。

開業・運営

最後に、最終確認を行い、引渡しとなります。開業後は対象空間の用途に応じた企画やイベントを計画するほか、展示コンテンツや設備機器などの定期的なメンテナンスも行います。お客様の来場が目的である場合は、効果測定による評価や改善を繰り返した運営が求められます。

空間づくりの事例

最後に、丹青社が手掛けた空間づくりの事例を大きく3つに分けて、ご紹介します。

にぎわい、売れる空間づくり

1.三井ショッピングパーク ららぽーと富士見

ららぽーと富士見は、「人・モノ・文化が交差する新拠点~CROSS PARK~」というコンセプトで開発された3フロア・293店舗の東武東上線エリア最大級となる大型ショッピングセンターです。「Park Experience」をテーマに、施設内で公園や広場にいるように感じられ、買い物の間のちょっとした休息や子どもたちが遊ぶことができる空間です。

施設全体に、マーチャンダイジングと連動させた様々なファニチャーや植栽を設置し、飽きさせない館内のレスト環境を実現。全て異なるタイプのファニチャーを設置し、形状・デザインの選定一つ一つにこだわることで、施設空間全体の価値を更に向上させました。

三井ショッピングパーク ららぽーと富士見の事例詳細はこちら

2. ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート

ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾートは、リゾートトラストが展開する最高級グレードの完全会員制リゾートホテル「ベイコート倶楽部」ブランドとして、東京、芦屋に次ぐ三番目の施設として愛知県蒲郡市に2019年3月に開業。

建築設計の安井建築設計事務所と、丹青社のデザインチームが初期のエスキース段階から協働することで、海岸線に沿って創られた建物のフォルムをインテリアデザインに取り込み、有機的な曲線の壁や様々なデザインエレメントなど建築とインテリアが高い次元で融合した今までにない空間を実現。また丹青社のデザインチームに世界のファイブスターホテルの実績を持つ海外のデザイン事務所を招聘し協働することでグローバルな視点も取り入れた富裕層が高揚感を感じることのできるラグジュアリーホテルを創り出しました。

ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾートの事例詳細はこちら

共感を生み、ファンを増やす空間づくり

1.Canon Gallery

キヤノンの企業像や歴史、すべての製品・サービス・ソリューションを展開するグローバル本社のショールーム。2フロア構成で、プロフェッショナル・オフィス・ネットワークカメラ・ヘルスケアなどのビジネス向けフロアと、カメラ・プリンターなどのコンシューマー製品のフロアに分かれています。

キヤノンの多岐にわたる事業分野の各担当者様と深くコミュニケーションを取りながら、製品情報の整理や露出イメージのバランスを十分に考慮してプロジェクトを進めました。製品の体験だけではなく、展示手法を工夫することでキヤノンの技術力の高さを視覚化し、ビジネスパートナーが直感的にキヤノンの優位性を体感できる展示としています。

Canon Galleryの事例詳細はこちら

2.ヤンマーミュージアム
ヤンマー創業100周年記念事業の一環として2013年にオープンしたミュージアムを、同社のリブランドプロジェクトのクリエイティブディレクターを務める佐藤可士和氏を総合プロデューサーに迎え、「やってみよう!わくわく未来チャレンジ」をコンセプトに一新。既存の建築を一部増築し、コンテンツについてはほぼ全面リニューアルしました。

空間づくりと並行し、ミュージアムのすべてのコンテンツをテーマ設定から企画・開発・制作まで、一貫したプロデュース/ディレクション体制で推進することにより、コンセプトを的確に具現化したコンテンツ制作を実行しました。

ヤンマーミュージアムの事例詳細はこちら

文化を伝え、活かす空間づくり

1. 静岡県富士山世界遺産センター

建物の外観は「逆さ富士」の形状で、前面の水盤に映ると「富士山」の姿が現れます。「逆さ富士」の内部は展示棟となっていて、1階から5階まで全長193mの緩やかならせん状のスロープを上りながら、それぞれの標高による富士山の景観を大パノラマ映像で楽しむことができます。

事業主である静岡県、建築設計者や展示監修者とワークショップを繰り返しながら、富士山の価値を伝えることの方法論を徹底的に議論しました。検討の末採用した、来館者が登山のように建物を上りながら様々な展示体験をしていく構成と演出は、シンプルで且つインパクトがあり、4Kシアターやテーマ展示と合わせて、文字や解説に頼らない体感的な展示が実現しました。

静岡県富士山世界遺産センターの事例詳細はこちら

2.国立科学博物館 地球館 リニューアル

国立科学博物館地球館の5フロアの展示エリア及び、地球館の約3分の1をリニューアルしました。今回、常設展示としては初めて、大型映像演出やインタラクティブ映像、大型遊具などに実物標本の展示をミックスさせた、新しい展示体験のスタイルを実現しました。

地球館の入口に、宇宙誕生から現在までの歩みを、宇宙史・生命史・人間史の切り口で紹介するシンボルゾーン「地球史ナビゲーター」を設け、ここで地球館全体を俯瞰できるようにしました。また、未就学児とその保護者を対象とした新しいエリア「親と子のたんけんひろばコンパス」では、小さな子どもでも博物館や自然科学に親しみが持てるように、遊びの要素を取り入れるなど工夫を施しました。

国立科学博物館 地球館 リニューアルの事例詳細はこちら

まとめ

企業における空間づくりは、その目的や利用シーンに応じて様々な方向性があるものの、ステークホルダーとのコミュニケーションを図るメディアとして役立ち、重要な取り組みの一つと言えるでしょう。

丹青社では、創業以来70年以上にわたり、各業界のリーディングカンパニーや、自治体、
官公庁などの空間づくりを手がけてきたノウハウを活かし、コミュニケーションやブランド訴求の拠点となる企業のPR 施設をはじめ、博物館や科学館などの文化施設、店舗などの商業施設といった、人やモノや情報が行き交うさまざまな空間づくりを企画から設計、制作、運営まで一気通貫で対応します。
空間づくりをご検討されている方は、ぜひお気軽に丹青社までお問い合わせください。

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