企業の「体験・見学施設」とは?展示空間としての役割やつくり方に迫る

Date: 2025.10.10

企業が自社の歴史や技術、商品などの体験や見学できる空間をつくる手法は、社内外にその存在や事業活動を効果的に伝えられる点で注目を集めています。

今回は、企業が手がける体験・見学施設の概要から役割、つくり方や事例まで、体験・見学施設をご検討中の方に役立つ情報をご紹介します。

企業による体験・見学施設について

まずは企業による体験・見学施設の概要と種類について見ていきましょう。

企業による体験・見学施設とは?

企業が手がける体験・見学施設とは、企業が手がける施設の一種で、主に一般向けの工場見学として体験提供する施設から、対外的に自社製品の展示を行う企業ミュージアムまで、さまざまな形態があります。

企業による体験・見学施設の種類

企業による体験・見学施設には、主に次のような種類があります。

・工場における見学機会の提供
既存の工場の一部を見学できるようにするほか、展示室なども備える施設を併設することも行われています。

・企業ミュージアム
企業の歴史や理念、商品・サービスなど企業の特徴を展示によって紹介する施設です。

・企業ショールーム
企業が商品・サービスを展示する施設で、主に顧客との交流、営業活動の目的で使われます。

・企業博物館
企業活動のテーマや技術、専門知識やノウハウなどを一般に公開する博物館です。

・企業美術館
企業が所蔵する美術品や絵画、骨董などを展示する施設です。

企業博物館と企業美術館は、企業ミュージアムと同義で用いられることがあります。

企業による体験・見学施設の役割

企業による体験・見学施設は、次のような目的や役割があります。

周知・プレゼンテーション

企業の商品・サービスや理念、歴史などを周知し、時にはプレゼンテーションを行うことで、営業やPR施設としての役割を担うことがあります。

ブランディング

企業やブランドの対外的なブランディングを目的とします。ブランドに根付くコンセプトをビジュアル鑑賞や体感、体験などを通じてよりインパクトを与えることができます。

インナーブランディング

社内に対するインナーブランディングの目的で、企業の歴史や創業者の功績や価値観、企業理念を展示・体験コンテンツを通じて提供します。

ラーニング・体験学習

製造業であれば工場見学やものづくり体験、サイエンス分野であればサイエンスミュージアム、職業体験ができる施設など、学びの場の提供を目的とするものです。

社会貢献

体験型学習施設などを通じて学びの機会の提供、専門知識やノウハウの提供、地域活性化などの社会貢献活動として施設を創設することもあります。

体験・見学施設のつくり方

体験・見学施設は、次のような手順でつくっていきます。ここでは企業ミュージアムのつくり方ステップをご紹介します。

1.目的・ターゲットの明確化
施設の目的やターゲットを明確にし、社内共有をしながら開発のコンセプトを立案します。

2.構想
具体的な構想イメージを立てます。立地、規模、ターゲットのイメージ、予算、スケジュール、プロジェクト体制などを含みます。

3.施設の計画・設計
施設ではどのような展示やシナリオ、コンテンツを、どのような展示手法や動線で展開するのか計画・設計を行います。

4.制作・準備
設計が固まれば、内装工事や設備工事を行います。また開業準備として運営スタッフの配置や運営マニュアルなども用意します。

5.開業・運営
施設の工事が終われば開業・運営となります。効果測定による評価と改善を繰り返しながら、定期的な企画展やイベント、メンテナンスなど運用を進めていきます。

体験・見学施設の事例

体験・見学施設の具体的なイメージを付けるために、2社の事例をご紹介します。

1.高級時計の製造過程を魅せるショールーム
スイスの高級時計メーカー、IWCシャフハウゼンが手がける「IWCマニュファクチュールセンター」という工場は、美しい外観を持つ、高級時計の製造過程を魅せるショールームです。創業150周年を記念して建設され、自社製ムーブメントと関連パーツ、ケースの製造を一か所に集め、ほぼすべての製造過程を公開しています。

2.車づくりを見て体験して学べる企業ミュージアム
「いすゞプラザ」はいすゞ自動車が創立80周年の記念事業として手がけた施設です。いすゞの事業がわかるジオラマ、車づくりの工程や歴代車両などの展示を通じてものづくりへの精神を伝えています。
車づくりの工程を楽しんで学べる体験型展示を充実させることで、来場者にものづくりの現場をより深く知ってもらう工夫をしています。

【関連リンク】
いすゞプラザ

まとめ

企業による体験・見学施設の概要から種類、つくり方、事例などをご紹介しました。ご紹介したように、体験・見学施設の目的やターゲットは幅広いものがあります。創設を検討している方は、自社に合った目的やコンセプト、ターゲットなどを充分に検討し、最も有意義な創設につなげましょう。

丹青社では、創業以来70年以上にわたり、各業界のリーディングカンパニーや、自治体、官公庁などの空間づくりを手がけてきたノウハウを活かし、企業ミュージアムの企画から設計、制作、運営までを一気通貫で行っております。体験・見学に特化した企業ミュージアムの創設をご検討されている方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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