コラム

ワークショップの進め方や工夫-
可能性を最大限引き出すには

Date: 2022.11.01

ワークショップが近年、開催の仕方によっては大きな効果が期待できるため、企業で注目を集めるようになっています。
今回は、ワークショップが注目される理由とワークショップが持つ特徴、開催前に抑えるべきポイント、 効果が思わしくないときに想定される原因 、企業ミュージアムやショールームを活用することでワークショップの効果を最大限引き上げる方法をご紹介します。

ワークショップとは?

ワークショップは、ビジネス、教育、芸術、社会問題解決など、さまざまなシーンで取り入れられている手法です。中でも、企業が主催するビジネスワークショップとは、参加者が主体となって参加する企画立案の場や講習会、研修、イベント等のことを指します。

ワークショップという言葉には、本来、作業場や仕事場といった意味がありますが、近年は物理的な場所というより、参加者が主体的に参加する複数人で行う会合全般を差す言葉として浸透しています。

一般的なセミナーに比べ、参加者が能動的・主体的に参加し、参加者同士が話し合う場面がある点、体験が組み込まれている点、理解するだけでなく、その理解を分かち合える点などが特徴です。

ワークショップが注目される理由

ワークショップは近年注目され、積極的にビジネスで活用されていますが、その理由は次のような課題にワークショップが効果的であると考えられているためです。

●チームビルディング、相互理解の促進
業務やプロジェクトを行う際に、メンバー同士の関係性を深め、コミュニケーションを円滑にすることは重要です。
一方で、短期的なプロジェクトや関係者が多い場合、初対面や関係性が薄いメンバー同士では業務の分担や活発な交流が難しい場合もあります。
ワークショップを活用することでチームとしての関係性を構築し、結果としてチームのアウトプットを向上させることができます。

●イノベーションや新規事業のきっかけの創出
イノベーションや新規事業の創出には、その種となる知識の獲得とアイデアが必要となります。参加者全員が意見や知識、アイデアを出し合うことで、アイデアや知識が掛け合わさり、イノベーションや新規事業のきっかけを創出することができます。

●知識や価値観の共有
知識を深めていくためには、人とその内容について議論したり、考えを共有したりすることが有効です。近年では、入手できる知識や情報が増えている一方で、ひとつひとつの事柄を深く理解することは容易ではありません。また、会社やチームであれば、価値観を共有することは重要ですが、そのためにも相互の発信が必要です。ワークショップを活用することで、知識を深度化し、価値観を共有することができます。

ワークショップが持つ特徴

上記のような目的にワークショップは効果的ですが、それはワークショップが持つ特徴が作用しているためです。ワークショップは以下のような特徴があります。

●主体性・能動性を引き出すことができる
例えば研修において、よくある講義形式では、参加者は常に講義を聞くという受け身の姿勢となります。一方で、ワークショップは、自ら体験・活動する必要があるため、主体性・能動性が求められます。結果的に、自然と意欲を引き出すことができます。また同時に実際に実践・体験することで、実践力が身につくというメリットもあります。

●理解を深め、共有できる
ワークショップにおいて主体的・能動的に取り組むということは、受け身の姿勢と比べ、理解のレベルが上がりやすくなります。人は聞いた話を自分の範囲内でしか受け止めることができませんが、ワークショップで同じ学びを複数人で共有することで、より多角的な視点を知ることができ、「そういう理解の仕方もあるのか」と目からうろこが落ちることもあります。また、企業理念やビジョンといった抽象度の高い事柄は議論や共有によって理解されることも多く、ワークショップが持つ「発信・共有する」という特徴が活かされます。

●参加者同士の交流が生まれる
ワークショップでは、多くの場合タスクや作業が与えられるため、参加者同士の議論や協力が必要です。その結果、自然と参加者同士の交流を生み出すことが可能です。普段、関わらないメンバーが集うことで、その交流がきっかけでコラボレーションやイノベーションなどが生まれる可能性もあります。

これらのことから、企業ワークショップは、なかなか浸透しにくいビジョンやパーパス、組織文化の醸成に有効といえます。また、新しい何かを生み出すアイデア出しにも効果のあるイベントであるといえます。

ワークショップ開催前に押さえるべきポイント

ワークショップを成功させるためには、開催前に次のポイントを押さえておくのをおすすめします。

●実施目的・達成したいゴールを明確にする
これから開催するワークショップは、「何のために」行い、最終的にどのような「ゴール(目標)」を達成したいのかを明確に定めることが最重要です。
これらが明確でなければ、主催者・参加者ともに何のために活動しているのかに迷いが生じ、「楽しかったけれど、何の実りがあったのかわからない」「やった意味がよくわからない」など、その場限りの満足で終わってしまいます。また、目的やゴールが明確でなければ、具体的なテーマやプログラムも決めることができません。
ワークショップ成功のためには、最終的な目的・ゴールを熟考し、明確化することが最も重要です。

●当日のテーマ・プログラムを決める
目的やゴールに基づき、テーマやプログラムを決めていきます。ワークショップのコンセプトを整理してテーマ設定を行い、具体的なアクティビティを決めていきます。アクティビティごとのゴールも定め、それを達成できるタスクも整理しておくとよいでしょう。また、参加者の関係性、持っている知識や能力の違いに留意して、アイスブレイクや事前の情報共有などを設定することも有効です。

●人数や参加者の設定をする
ワークショップに最適な人数もしっかり検討することが大切です。ワークショップは参加者自身が行動し、発信する機会が重要なため、参加する人数もアクティビティに合わせて調整することが重要です。全体の人数だけではなく、グループワークを行う際には、年齢や能力、経験、役職などを考慮することが重要です。

ワークショップの効果が思わしくないとき

ワークショップはチームビルディングやイノベーション、知識・価値観の共有に有効ですが、必ずしも成功するわけではありません。ワークショップの効果が見られない、思わしくないときは、以下のようなことが原因です。

●参加者の質や意欲、知識にばらつきがあった
参加者のモチベーションが低いと、ワークショップが失敗しやすくなります。特に初めての開催の場合、「何をやるのか」「うまくいくのか」「自分の発言がどう受け止められるのか」など不安が大きいものです。これまで受け身の会合が多いと、特にそう感じる人が多いでしょう。事前に具体的なアクティビティの内容やメリット、参加方法などを周知しておく必要があります。

●プログラムの準備が不十分だった
プログラムの順番や内容を十分に練らないと、当日想定外の展開になったり、アクティビティが十分に行われなかったりして、ワークショップとしてきちんと完結できない場合があります。実際にワークショップの司会進行等を務めるファシリテーター含めてリハーサルや準備を行うことが必要です。

●一過性のイベントにしかなっていない
目的やゴールが曖昧だと、ワークショップ自体が目的となってしまい、参加しただけで満足してしまうこともあります。ただの「楽しかったイベント」でしかなく、一過性で終わりがちなのがワークショップの課題といえます。最終的な目的、ゴールを常に考え、ワークショップを手段として考えることが重要です。

ワークショップと企業ミュージアムの可能性

参加者のモチベーションを高め、一過性のイベントで終わらせることなく、ワークショップを通じてチームビルディングやイノベーション、価値観の共有など最終的な目的、ゴールをどうやって実現するか。
この実現のためには、ワークショップそのものだけではなく、ワークショップの環境を考えたり、他の施策を組み合わせることが有効です。

そのアレンジ方法として効果的なのが、「企業ミュージアム」や「ショールーム」を活用することです。
企業ミュージアムやショールームは、企業の沿革や歴史、商品やブランドの展示を行う美術館や博物館のような施設のことを指します。単純に製品や技術を並べるだけではなく、その価値や背景にあるストーリーなどを含めて展示したり、体験型の仕掛けなどを織り交ぜて発信することで、製品や技術のことを来訪者の記憶に残すことができます。
広報・ブランディングに有効な手段ですが、インナーブランディングやエンゲージメントにも有効です。ワークショップのような巻き込み型の施策と、施設というハード面を組み合わせることで、ワークショップによって達成しやすいゴールを、より達成しやすくすることもできるでしょう。

例えば、企業ミュージアムやショールームとワークショップを掛け合わせる手法として以下のような手法が考えられます。

●環境として参加者に刺激を与える
従来の会議室とは異なる場所で行うワークショップの環境として、企業ミュージアムやショールームを活用することもできます。例えば、ワークショップの目的がインナーブランディングであれば、自社の歴史にまつわる施設で行う、目的がアイデア出しであればショールームでの実物見学を取り入れるなどすることで、参加者に刺激と知識を与え、モチベーションアップやアイデア活性化につながる可能性があります。

●ワークショップの前後の体験として設計する
ワークショップの前後のプログラムとして企業ミュージアムやショールームの見学や体験を組み込むことも有効です。
インナーブランディングや価値観の共有が目的である場合、企業ミュージアムやショールームにある自社の歴史や創業者の考えに事前に触れることも有効です。オープンイノベーションなどを目指す場合、事前に相互理解のために企業ミュージアムやショールームを案内することで、ワークショップのアクティビティをより活性化することができます。

まとめ

ワークショップは、多くの企業が取り入れ、すでに有意義な効果が出ています。一方で、課題に直面し、うまくいかない、効果が上がらないというケースもあるでしょう。そのようなときには、企業ミュージアムやショールームを活用することで、ワークショップの効果をより引き出すことができます。

丹青社では、企業様の企業ミュージアムやショールームの制作を得意とし、多数の実績を持ち合わせております。ワークショップ開催のアイデアもぜひご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。

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