企業のパーパスを浸透させるには?
具体的な方法から事例まで解説
Date: 2025.11.21
目次
パーパスとは?

パーパスとは、「会社の存在価値」を指します。会社は単独で存在するわけではなく、社会の中で役に立つ何らかの役割を持っているからこそ存在できています。
また「会社が何のために存在するのか」を示すパーパスは、従業員にとって「何のために働くのか」に関わってくる重要なものです。
パーパスと企業理念の違い
パーパスは「企業理念」「経営理念」と類似していますが、異なる概念です。企業理念や経営理念などは企業が重要視している価値観を表しています。パーパスも同様に重要な価値観ですが、パーパスは社会全体への貢献軸が強いのに対し、企業理念や経営理念は組織が重要視する価値観や対従業員に向けた要素が強い傾向があります。また、企業理念や経営理念は、経営者の価値観や想いが強い点も特徴的です。
パーパスとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の違い
パーパスは「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」とも似ていますが、異なります。ビジョンは理想像、ミッションはビジョンを達成するための行動指針、バリューは価値観や行動規範を表します。それに対し、パーパスはMVVの根底に位置づけられるもので、パーパスという土台があるからこそMVVが開花するイメージを持つと分かりやすいでしょう。
パーパス浸透が重要な理由

多くの企業がパーパスを掲げ、また社内への浸透に熱心に取り組んでいます。その理由として次が挙げられます。
・目的意識・帰属意識を高められるため
・パフォーマンス向上のため
・エンゲージメントと離職率に影響するため
近年は多様な価値観を持つ従業員が増え、リモートワークの浸透など柔軟な働き方が採用されているため、共通の目的を持ち、帰属意識を高めることが求められています。また従業員が熱心に仕事に取り組み、会社への貢献意識をもって働くためにも、パーパスを社内に浸透させることは重要です。
転職が当たり前になっている昨今、離職率の高まりが懸念されていますが、パーパスを浸透させることで組織の結束が強まり、従業員のエンゲージメント(企業や仕事への愛着心)を向上させる効果も期待できます。
パーパス浸透がうまくいかない理由

経営部門や人事部門などにとって、社内にパーパスを浸透させることは重要な取り組みといえます。しかしながら、いざパーパスを掲げても、「なかなか浸透していかない」という課題に直面することは多くあります。
パーパス浸透がうまくいかない理由として次の点が挙げられます。
パーパスを定めただけ
パーパスを定めただけで、社内に対してほとんど施策を行っていないケースです。ただ周知するだけでは浸透していきません。
パーパスが抽象的すぎて業務に翻訳されない
パーパスを定めたものの、抽象的すぎて業務遂行時に具体的に落とし込めないという課題です。
パーパスを経営層が体現しておらず言行不一致
経営層自ら実践しなければならないパーパスも、言葉だけで行動が伴わなければ、不信感が高まる原因となります。
パーパスの周知やコミュニケーションが不足している
社内に対するパーパスの周知や、パーパスをもとにディスカッションするコミュニケーションの機会、研修などが不足していると浸透しにくくなります。
パーパス浸透を成功させるための方法・ポイント

パーパスを社内に浸透させるために必要な方法とポイントをご紹介します。
行動指針への具体化
パーパスを周知しただけでは、従業員がパーパスを業務の中でどう実践すればよいのか迷いが生じます。そこでパーパスを行動指針へ落とし込み、具体化することが有効です。
経営陣・管理層の体現と物語化
行動指針を定めただけでも浸透は困難です。ロールモデルとして経営陣・管理層の体現が欠かせません。実際の取り組みを物語化してストーリーとして伝えることで共感を呼び、従業員の主体的な行動意欲を引き出すことにつながります。
人事制度・報酬との一体化
パーパス体現者を評価し、報酬と連動させることも有効です。従業員に「パーパスに基づいた判断・行動は評価につながる」という認識を根付かせることが可能です。
接点の増加と双方向コミュニケーション
従業員に対して一方的にパーパスを押し付けるのは厳禁です。研修やセミナーを開催してパーパスに触れる機会を増やすとともに、社内アンケートを実施するなどして従業員からのフィードバックを積極的に取り入れる双方向コミュニケーションにより、従業員自らのアクションを引き出せるでしょう。
これらのポイントを押さえつつ、社内でプロジェクト化して大々的に実施することで成功につながると考えられます。
企業理念・パーパスの浸透に貢献する施設の事例

企業理念・パーパスの浸透に貢献する施設の事例を2つご紹介します。
伊藤傳三記念館
伊藤ハム創業90周年の記念事業として創業の地に設立された、創業者・伊藤傳三の志を伝える記念館です。伊藤傳三の事業への取り組みを通じ、食肉加工産業の発展へと導いた道のりを広く紹介・公開しています。伊藤傳三の「事業を通じて社会に奉仕する」という精神を受け継ぎ設立された「公益財団法人伊藤記念財団」、「公益財団法人伊藤文化財団」と「伊藤ハム株式会社」が共同で運営しています。
ヤンマーミュージアム
ヤンマー創業100周年記念事業の一環として2013年にオープンしたミュージアムです。ヤンマーの事業フィールドや目指す社会をテーマにしたコンテンツを揃え、長きにわたり受け継いできたチャレンジ精神をさまざまな体験を通じて持ち帰ってもらう企業ミュージアムとなっています。
まとめ
パーパスは組織が一致団結して同じ目標に向かうための土台となる重要なものです。行動指針に落とし込むことで、より具現化され、優れた取り組みが実践されるようになります。
近年は、パーパスを社内に浸透させる目的も含めて、企業ミュージアムを設立する企業も存在します。企業の歴史や理念に関する展示を通じて効果的に伝えられるため、従業員はよりパーパスに対して誇りと共感を持つことでしょう。
企業ミュージアム設立をご検討される際には、ぜひ丹青社にお声がけください。貴社に最適なご提案をさせていただきます。

