「空間ブランディング」で企業ブランディングを加速する―企業の想いを体験に変える企業ミュージアム

「企業の想いをステークホルダーに正しく伝え、真の信頼を築きたい」。デジタル情報が溢れる今、デジタルによる発信だけでは、企業の「真意」が充分に浸透しないという課題感が強まっています。そこで、企業ブランディングの一手として注目されているのが「空間ブランディング」です。物理的な空間には、視覚だけでなく五感を通じて記憶に刻み込まれる「体験価値」を創出する力があるからです。本記事では、企業の想いを可視化する「企業ミュージアム」の戦略的構築プロセスと、空間ブランディングを成功に導く丹青社プランナーの専門的視点を解説します。


1. なぜ今、企業ブランディングに「空間ブランディング」という戦略が有効なのか?

企業ミュージアムのプランナー、丹青社の立松 亜子さんに聞きました ――

立松亜子
丹青社 デザインセンター プランニング局 3部 部長

近年、企業の事業活動の紹介だけでなく、ミッションやビジョンをステークホルダーに伝える手段としても「空間ブランディング」が注目を集めています。WebサイトやSNSといったデジタルメディアとは異なり、空間というリアルの場の最大の特徴は、企業と来場者の間に「双方向の繋がり」や「思いがけないコミュニケーション」が生まれる点にあると私は考えています。

一方的な情報発信手段とは異なり、空間では来場者の直接的な反応が見えます。特にB2B企業では、一般の方や子供たちが訪れることで、企業が自らの新たな価値に気づくこともあります。成長を加速させる可能性を秘めているのです。また、企業ミュージアムは単なるアーカイブではなく企業の「今」を表す場であり、社会情勢や事業の変化に合わせて進化していく生きたメディアでもあります。

では、そうした空間をどのように生み出しているのか。私たちのチーム編成と役割についてお話しします。

プランナーとデザイナーの違い、専門スタッフにより編成されるチーム

私たち丹青社のプランナーは、プロジェクトの川上からお客様に伴走するパートナーとして参画します。その業務の基盤となるのが、徹底して行う「リサーチ」と「情報整理」です。対象について「誰よりも詳しくなる」という意気込みで研究し尽くします。

そして、ターゲット・コンセプトなどの施設の幹となる部分を立案した上で、一般的には目に見えにくい企業の内なる想いや技術、歴史といった資産を、多様な来場者の視点に合わせた具体的な「体験ストーリー」へと落とし込んでいくことに強くこだわっています。プランナーは企画立案するだけではなく、プロジェクトの意味を作り上げるパートナーとしてお客様と共に考え抜き、一緒に走りながら、企業とステークホルダーを繋ぐ役割を担っているのです。 ――

3. 成功する企業ミュージアムの条件|空間ブランディングを支える3つの柱

企業ミュージアムの価値を最大化し、空間ブランディングを成功に導くためには、以下の3つの要素が欠かせません。

① 徹底的な「リサーチ」で潜在価値を掘り起こす

対象を深く研究し、歴史や技術、言語化されていない想いといった資産を掘り起こします。この深い理解こそが、唯一無二のコンセプト策定の基盤となります。

② 複雑な情報を、体験へと「翻訳」する

高度な専門情報を、様々な来場者やステークホルダー、それぞれの視点に合わせた「体験ストーリー」へと翻訳します。難解な技術も直感的な物語に落とし込むことで、来場者の記憶に残ったり、深い共感を生み出します。

③ 社会の変化に合わせ、常に「進化」し続ける

企業ミュージアムは、一度作って終わりではありません。施設を育てる運営をベースに、事業活動や社会情勢に合わせてコンテンツを更新し、企業の「今」を映し出す生きたメディアとして育てることが重要です。 

4. 企業の想いを形にする――丹青社のプランナーたち

丹青社のクリエイティブの専門性を掘り下げる映像「SPECIALTY IN」。その企業ミュージアム編では、現場で奔走するプランナー3名が、どのようにプロジェクトと向き合っているか、どのような思考プロセスで企業の想いを紐解き、価値の言語化や課題の構造化をしているか、垣間見ることができます。ぜひ、その熱量に触れてみてください。

「SPECIALTY IN」に登場するのは、多様な背景を持つ3名のプランナーです。それぞれの専門性と視点をご紹介します。

立松 亜子(中) 丹青社 デザインセンター プランニング局 3部 部長
「体験価値を紡ぎ、企業と社会を繋ぐ架け橋となる」
企業の価値を来場者の豊かな価値へと紡ぐことを模索しながら、プロジェクトを一緒に進めさせていただくコンサルティング視点も大切にしています。企業が持つ想いをカタチにし、企業とステークホルダーをつなぐ場づくりと考え、取り組み続けています。

Policy: 商業施設から企業の展示施設まで、あらゆる規模の空間企画を経験。基本の型を持ちつつも、分野にとらわれず、お客様の目的に合わせて柔軟に変化することをポリシーとしています。どんな課題でも好奇心を持って向き合い、共に最良のゴールを見出す姿勢を大切にしています。

山田 淳(右) 丹青社 デザインセンター プランニング局 3部 1グループ グループ長
「高度な専門情報を、誰もが共感する物語へ『翻訳』する」
例えばB2B企業の業務内容を子どもたちへ伝える際には、技術情報を理科の授業レベルまでブレイクダウンするなど親しみやすい世界観に落とし込みました。専門的な内容こそ、最も伝えがいのあるコンテンツです。ミュージアムは外部へのプレゼンテーションだけでなく、従業員やその家族に対するインナーブランディングの場としても機能します。

Policy: 大型商業施設や博物館のプランニング経験を経て企業ミュージアムに携わっています。手法に固執せず、徹底的なリサーチと対話を通じて、お客様自身もまだ気づいていない企業としての魅力や新しい視点や見せ方を提示することを大切にしています。

渡邉 将人(左)丹青社 デザインセンター プランニング局 3部 2グループ グループ長
「企業の『今』を映し出し、未来を共に創る伴走者」

企業ミュージアムは歴史を記録・展示するだけでなく、企業の活動に合わせてターゲットや役割も変化し、進化していくメディアです。お客様と本音で話し合える、議論ができる関係性づくりを重視し、なぜそれを見せるのかという理由付けを共に行う「伴走者」でありたいと考えています。

Policy: プロジェクトでは、お客様の企業文化や内情を深く理解した上で同じ視点で対話することを心がけています。専門家として、また伴走者として、あらゆる可能性を探り、どんな課題にもポジティブに向き合い、最後までご一緒することを大切にしています。

5.【まとめ】企業ブランディングに成功する空間活用とは

企業ミュージアムは単なる展示施設ではなく、企業の「想い」を体験に変える戦略的メディアです。以下の3点を軸にした空間ブランディングこそが、ステークホルダーとの強固な信頼関係を築く鍵となります。

・徹底的なリサーチによる潜在価値の言語化
・専門情報を体験ストーリーへ翻訳する企画力
・社会の変化と共に進化し続ける運用の仕組み 

丹青社のプランナーは、お客様の課題を自らの課題として捉え、最良の解決策を共に探求し続ける「真の伴走者」です。企業ブランディングをリアルな体験へと展開する「空間ブランディング」にご関心をお持ちの方、あるいは企業ミュージアムやオフィスでの戦略的な情報発信を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人
山崎 泰 / 丹青社「場と人」編集長・ジャーナリスト

丹青研究所での商業施設の調査・企画業務の後、1997年に丹青社の社内新規事業「Japan Design Net(JDN)」創業に参加。メディア「JDN」「登竜門」の編集長、コンテスト制作事業立ち上げを経て2011年にJDN取締役。2025年、丹青社に移籍。デザインに関する取材執筆多数。

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