企業による社会貢献とは?行う理由と効果、事例について解説

Date: 2023.07.14

近年、世界的にSDGsへの取り組みやESG経営に注目が高まり、より企業をとりまく環境や社会の中における役割がフォーカスされるようになってきました。そのため、企業は以前よりも積極的に社会貢献への取り組みを進めています。
今回は、企業が社会貢献を行う意味や必要性、メリット、実際の事例、社会貢献にもなるおすすめの企業ミュージアムの取り組みについてご紹介します。

企業の社会貢献(CSR)とは?必要性も解説

企業の社会貢献とは、企業が営利を目的に社会に対して製品やサービスを提供することだけでなく、企業が社会に対して何らかの役立つ行為を行うことを意味します。

企業は、社会的な位置付けとして、営利を目的とした経済活動を行う経済主体であるため、基本的には利益を追求します。

しかし、多くの企業は存在意義や果たすべき使命、実現したいビジョンなどを持っており、それを満たすために事業を通じて利益を追求しています。その使命やビジョンは、多くの場合に社会貢献の要素を含んでいるものです。

なぜなら、企業が社会へ貢献することにより、社会および世界が良い方向に向かい、企業自身の発展にもつながるためです。

CSRとの関係性・違い

「CSR(Corporate Social Responsibility)」、つまり企業の社会的責任は、企業活動そのものが社会に与える影響に責任を持つという、より広い概念です。法令遵守、誠実な取引、環境配慮、労働環境の整備、そして社会貢献までを包含する「経営のあり方」を指します。

対して企業の社会貢献は、CSR活動の一項目です。本業で得た利益やリソースを、寄付、ボランティア、文化支援(メセナ)などを通じて直接的に社会へ還元する「具体的なアクション」を指します。

CSRは「企業として当然果たすべき土台」であり、社会貢献はその土台の上で行われる「プラスアルファの活動」と捉えると分かりやすいでしょう。もともと企業は、売上を高めて収益を上げるなどの営利活動を行うと同時にCSRを果たさなければならないため、社会貢献への取り組みは、社会的責任を果たすことをより一層、強化することにもつながるといえます。

CSR(企業の社会的責任)とは?概要からメリット、活動事例まで解説!

企業の社会貢献における必要性

近年は、2015年9月に国連サミットにおいて全会一致で採択された目標SDGs(Sustainable Development Goals)、つまり「持続可能な開発目標」への取り組みや、環境・社会に配慮しながら健全で持続可能な発展を目指す経営手法であるESG経営などが、投資家の評価を高めることを背景に、取り組みが進んでいます。

近年ではCSV(Creating Shared Value)、つまり共通価値の創造という概念も普及しています。CSRが営利活動とは別の内容で取り組むものが一般的ですが、CSVは事業活動の中で社会貢献を実現していく、という考え方です。

つまり、現代のビジネス環境において、社会貢献は単なる「余力で行う慈善活動」という義務のフェーズから、企業の持続可能性を高めるための経営戦略へと進化しているといえます。社会課題への姿勢が株価や資金調達に直結するようになっただけでなく、SNSの普及により企業の行動が可視化され、ブランドイメージが成約率や採用力に大きく影響するようになりました。

このように近年の企業をとりまく環境においては、社会貢献への取り組みの必要性が高まってきており、様々な企業が多様な視点、手法で進めています。

企業が社会貢献を行うメリットとは

企業が社会貢献を行うことで得られるメリットや効果について、具体的に見ていきましょう。

 

1.企業・ブランドイメージの向上

社会貢献活動を行う企業は、ただ営利目的の活動しかしない企業よりも、消費者からのイメージを高めます。「いいことをしている」企業に対する消費者からの支持は、より厚いものとなるでしょう。

 

2.新規の顧客獲得につながる

企業が社会貢献活動へ積極的に取り組むことにより、イメージ向上、さらにはブランド価値が高まることが期待できます。その結果、既存顧客からの評価が高まると同時に、新たな顧客の獲得にもつながるでしょう。

 

3.社員のモチベーション向上

企業が社会貢献へ積極的な姿勢を見せると、その企業内で働く社員は、自社に対して誇りを持ち、自分が行っている業務のやりがいを感じるようにもなります。その結果、社員のモチベーション向上につながると考えられます。

 

4.地域社会との良好な関係構築

企業が地域社会に貢献することにより、地域社会と良好な関係を築くことができます。同時に地域の人々から厚い支持を得ることができるでしょう。

 

5.求職者へのアピールとなり人材獲得につながる

社会貢献活動を行っていることが世間に広まれば、求職者へのアピールにもつながります。その結果、優れた人材の獲得や多くの人材が集まってくる可能性もあります。近年では若い世代、Z世代といわれる層は働き方に社会的意義を求める傾向もみられ、企業の社内貢献に着目しているとも言われています。

短期的には売上や利益につながらないと考えられる社会貢献ですが、丁寧に実践し、発信することで、企業やブランドの価値を高めていくため、非常に重要です。

 

6.社会全体の発展に寄与することができる

企業が社会貢献を行うことで、環境問題や貧困問題などの社会問題の解決に貢献することができます。企業が社会的な役割を果たすことで、社会全体の持続可能な発展に寄与することが可能です。

企業が実施している社会貢献の事例

多くの企業では、有意義な社会貢献を行っています。ここでは主な活動の種類と事例を5種類ご紹介します。

 

1.環境保護活動

環境保護を目的とした、CO2排出量の削減、脱炭素などを目指す活動です。
あるアパレル企業は、顧客から不要になった衣料品の商品を店舗で回収し、国連などを通じて世界各地の難民キャンプや被災地へのリユース品として届ける活動を行っています。廃棄によるCO2排出の量を削減する環境保護活動といえます。

 

2.地域貢献活動

地域イベントの開催やボランティア活動などを通じて、地域社会に貢献する活動です。
日本企業の中には工場敷地内におけるビオトープ(生物生息空間)や人工的な森、リサイクルセンターを創設したり、小学校の子どもたち向けに環境に関する講義を提供したり、工場周辺地域の清掃活動や植樹などを行ったりしている事例があります。

企業が取り組む地域貢献活動の事例を紹介

 

3.社会貢献プロジェクト

大規模災害が起きた後への被災地支援や、医療体制が整っていない海外地域への医療支援などの社会貢献プロジェクトです。
企業や市民社会組織と政府が災害支援のために協力する仕組みを作るために緊急災害対応アライアンスを設立した事例があります。大規模自然災害発生時に、企業とNPO団体が連携し、企業が持つ物資・サービス等を被災地に提供しています。

 

4.資金提供活動

社会貢献団体、NPO法人などへの資金提供や寄付も一つの社会貢献活動です。
ある大手自動車メーカーは、環境課題の解決に取り組むプロジェクトや、ESD(持続可能な開発のための教育)を推進する民間非営利団体など、生物多様性や気候変動をテーマとする活動に対して助成する環境活動助成プログラムを20年に渡り実施したことがあります。

 

5.芸術文化支援(メセナ活動)

メセナ活動と呼ばれる芸術文化支援も一つの社会貢献活動です。メセナとはフランス語で「芸術文化支援」を意味し、企業が資金を提供することで文化活動や芸術活動を支援することを指します。

例えば、文化施設の経営、文化活動の主催、資金援助などが挙げられます。具体例として、音楽イベントや美術展などの活動を主催するなどの文化・芸術活動の主催、社会貢献の一環として企業ミュージアムを運営する取り組み、スポーツチームの運営や大会の開催などがあります。

下記のコラムでは、企業のメセナ活動を複数の事例とともに紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

企業のメセナ活動:知見や技術をミュージアムで公開

企業の社会貢献の進め方

企業の社会貢献活動を成功させるためには、自社の事業戦略と一貫性を持たせ、目的などを整理したうえで取り組むことが重要です。企業による社会貢献の進め方をステップで解説します。

ステップ1:自社の目的と社会課題の接点を整理する

まず、自社が取り組む目的と社会課題が交差する領域を特定します。自社の歴史や技術、人材といった独自の経営資源を棚卸しし、「自社だからこそ解決できる課題は何か」を明確にします。

単に世の中の流行を追うのではなく、事業との関連性が高い重要課題を選定することが重要です。このプロセスを経ることで、活動が一時的な慈善事業に終わらず、社会と企業の双方が成長できる戦略的投資としての土台が築かれます。

ステップ2:社内体制の構築とリソースの配分

活動を継続させるためには、経営層の強いコミットメントと明確な推進体制が不可欠です。広報や人事、事業部門などから横断的にメンバーを集めたチームを組成し、責任の所在を明確にします。

また、活動の成否を測るための指標(KPI)を設定します。来場者数などの定量的データに加え、ブランド認知度や社員のエンゲージメント向上といった定性的変化も評価対象に含めることで、活動の意義が社内でも共有されやすくなり、安定的なリソースの確保に繋がります。

ステップ3:ステークホルダーを巻き込んだ企画・予算・スケジュール立案

自社の視点だけでなく、自治体、NPO、専門家、そして地域住民といったステークホルダーとの対話を通じて企画を深めます。外部が抱える「真のニーズ」を把握することで、独りよがりではない、実効性の高いプログラムを設計できます。

企画によって活動の種類が決定できたら、具体的なアクションプランを策定し、予算やスケジュールを決定します。

ステップ4:社会貢献活動の実行

計画を策定できたら、実行段階となります。実行に移す段階では、社員がいかに主体的に関われるかが鍵となります。活動のプロセスを透明性高く発信することも重要で、Webサイトや統合報告書、SNSなどを通じて「なぜこの活動を行っているのか」という背景やストーリーを共有することで、社内外に共感の輪を広げていきます。

ステップ5:成果の測定と継続的な改善

活動の実施後は、あらかじめ設定したKPIに基づき成果を測定します。その活動によって社会にどのような変化をもたらしたかを検証し、課題を抽出します。

成果測定の結果は経営層へ報告するとともに、次年度の計画へとフィードバックするサイクル(PDCA)を回します。社会情勢やニーズの変化に合わせて柔軟に活動内容をブラッシュアップし続けることで、時代の要請に応え続ける持続可能な社会貢献活動へと昇華させていきます。

企業の社会貢献活動の具体例

企業の社会貢献活動の具体例をご紹介します。

 

Unilever(ユニリーバ)

Unileverは環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを成長させることを目指す事業戦略となる「Unilever Sustainable Living Plan」を2010年に策定しています。製品のライフサイクル全体にわたる環境負荷の削減や女性管理職比率の増加など、2020年までの間に大きな成果を上げています。

 

Microsoft(マイクロソフト)

Microsoftでは、社員のグローバルなビジネス経験やITスキルを活かした様々なボランティア活動を行っています。NPOパートナー、公益法人パートナーとの取り組みでは、「若者のICT学習の支援」や「子供たちへのプログラミング教育」などを行い地域社会への貢献活動を展開しています。

 

トヨタ自動車

社会貢献支出額ランキングに毎年ランクインしているトヨタ自動車ですが、2022年度は187億円と日本国内企業のトップの支出額となっています。
トヨタ自動車では、SDGs実現に向けて「共生社会」「人材育成」「地域創生」の各分野の課題解決に向けた活動を推進しています。

社会貢献の取り組みとして注目される企業ミュージアムとは

先にもご紹介した通り、芸術文化支援のメセナ活動として、また地域社会の貢献活動として企業ミュージアムを運営する例もあります。

企業ミュージアムとは、企業が作る博物館・美術館の要素を持つ施設です。その目的や志向は、さまざまなものがあり、企業独自の文化を展示する例のほか、企業の事業と関連性のあるコレクションを展示する例もあります。

中には、事業に関係することよりも、社会貢献活動としての意識が高く、公益性のある「博物館」としての地域社会における活動を積極的に展開する企業ミュージアムも存在します。

また、本業と深い関係を残しながらも、公益性のある「博物館」としての活動を通して新たな価値創造を目的とする企業ミュージアムもあります。美術館や図書館、アーティストによるギャラリーなどの機能を持つ例が該当します。

企業ミュージアムは、目的や志向によって、社会貢献活動の一助となり得えるだけではなく、企業やブランドの様々な側面を知ってもらい、その価値を高める効果も期待できます。
つくり方によっては、イベント会場や社内研修、社外のステークホルダーとのコミュニケーションの場としても活用できるなど、活用方法の幅広さも魅力的です。

ユニバーサルミュージアムとは?実現に向けた具体的な取り組みをご紹介

まとめ

企業は近年、さまざまな方向から社会貢献活動に取り組んでいます。中でも企業ミュージアムの創設・運営は、有意義な社会貢献活動の一つといえます。

丹青社では、お客様と共に多数の企業ミュージアムの設立をお手伝いしてまいりました。その中でも社会貢献活動につながる企業ミュージアム設立の事例も数多くございます。

目的や志向に合わせて、貴社に最適なミュージアムが何かを一緒に検討させていただきます。
お気軽にご相談ください。

Q&A

「社会貢献」といっても、具体的に何をすればいいのかイメージが湧かないのですが、どこから考えればよいでしょうか?

自社の「得意なこと」を社会に役立てることから始まります。 無理に新しいことを始める必要はありません。例えば、自社のものづくりの歴史を紹介して地元の子供たちに「科学の楽しさ」を伝えたり、貴重な資料を散逸させないよう保存・公開したりすることも、立派な社会貢献(文化支援)です。まずは自社の「らしさ」を見つけることが第一歩です。

寄付と、ミュージアムのような施設を作るのでは社会貢献活動として、何が違いますか?

企業の「想い」が直接伝わり、記憶に残るかどうかが違います。 寄付も重要ですが、ミュージアムなどの「リアルな場」は、企業のこだわりや技術を来館者が自分の五感で直接体験できるのが強みです。「この会社はこんなに社会を支えているんだ」という深い共感を生み出し、長く続くファンを作ることに繋がります。

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