CSR(企業の社会的責任)とは?概要からメリット、活動事例まで解説!
Date: 2024.08.28
目次
- CSR(企業の社会的責任)とは?
- CSRが注目される理由・背景
- CSR(企業の社会的責任)の7つの原則「ISO26000」
- CSRと関連する用語との関係性と違い
- 日本と世界におけるCSR(企業の社会的責任)の違い
- CSR(企業の社会的責任)活動のメリット
- 企業の信頼性・ブランド価値向上
- ステークホルダーとの関係強化
- 人材獲得・定着への影響
- 不祥事などのリスクの低減
- CSR(企業の社会的責任)で取り組む活動
- 環境保護活動
- 地域貢献活動
- 人権尊重・保護
- 社会貢献プロジェクト
- CSR(企業の社会的責任)活動の事例
- セブン&アイグループ
- NTT東日本
- CSR(企業の社会的責任)に取り組む上での注意点
- 自社に適したCSR活動を行う
- 投下するリソースと見込めるリターンを分析する
- 適切な体制を構築する
- まとめ
CSR(企業の社会的責任)とは?
CSR(企業の社会的責任)とは、企業が果たすべき社会的責任を指します。事業を通じて利益を得るには周囲や環境の協力と配慮が欠かせず、そこには責任も発生します。社会への影響への説明責任や透明性、環境保護や人権保護の取り組みなど、その活動は広範囲に及びます。
CSRが注目される理由・背景
CSR活動が注目されている背景として、企業が起こした問題や不祥事が起因しています。食品偽装表示問題や粉飾決算などの企業の不正行為によって、社会全体に大きな影響を及ぼし、企業に対する信頼性が失墜した事例がありました。それらを教訓として、社会全体から企業に対して倫理的な行動や透明性の確保が求められるようになり、企業としても信頼性の維持を目的に、法令遵守や社会的責任を果たすことが不可欠であると認識されるようになりました。
また、グローバル化や情報の透明性も理由の一つでしょう。グローバル化による国境を越えた企業活動、そしてインターネットやSNSなどの普及による情報の透明性の高まり。このような時代背景から、世界中の消費者や投資家が特定企業の行動をリアルタイムで監視・評価することが可能となりました。これにより、企業は社会や環境に与える影響について、より一層の責任を求められるようになりました。
国際的に取り組まれている持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、通称SDGs)も理由の一つです。地球環境保護や貧困削減など、SDGsの目標は多岐に渡り、CSRと重複する部分もあります。いずれにおいても企業による貢献が期待され、投資家や消費者から評価される傾向が高まってきたため、企業の長期的な成長や競争力強化の一環として位置づけられるようになりました。
CSR(企業の社会的責任)の7つの原則「ISO26000」
組織の社会的責任に関する国際規格「ISO26000」では、「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」の7つの原則が謳われており、CSRは広範囲に渡ることがわかります。
CSRと関連する用語との関係性と違い
SDGsとの違い
上述のSDGsは国際的な目標であり、世界的な視野を持って目指す取り組みである一方、CSRは企業独自の取り組みである点に違いがあります。
サステナビリティとの違い
サステナビリティは、「持続可能性」を指し、長期的な視点で経済、環境、社会のバランスを取りながら、持続可能な発展を目指す考え方です。CSRは企業が主体となって持続可能な成長を目指すのに対して、サステナビリティはより広範囲な社会全体が主体となるという違いがあります。
コンプライアンスとの違い
コンプライアンスは、「法令遵守」を指し、企業活動が法律や規則に従う行動、社会的な規範を守ること、などを意味します。いずれも倫理的行動に関する概念ではありますが、コンプライアンスが法令遵守に焦点を置き、CSRは倫理的行動を社会に対する責任・貢献まで昇華することが求められます。
日本と世界におけるCSR(企業の社会的責任)の違い
CSRは世界的に取り組まれていますが、日本と比べて、特に欧米企業の取り組みは大規模です。
アメリカは、他国に先んじて多くの企業でCSRへの取り組みが見られ、「CSR先進国」という位置づけにあります。アメリカの株式市場では、CSR活動に対する投資家の関心が高く、評価に大きく関係することから、巨額の予算を投じて推進している傾向が強いです。
一方、ヨーロッパでは、EUがCSRを持続可能な発展の重要な要素と位置づけ、各種ガイドラインや政策を通じ、その推進を図っています。そのため、EU加盟国は、EUのガイドラインに準じて行われる点に特徴があります。
CSR(企業の社会的責任)活動のメリット
企業がCSR活動に取り組むメリットについて見ていきましょう。
企業の信頼性・ブランド価値向上
CSR活動は環境や社会に貢献するための取り組みであることから、企業は社会や消費者から信頼を獲得できます。ブランドや企業の価値も向上することで、新規の顧客獲得にも間接的な好影響を及ぼすことでしょう。
ステークホルダーとの関係強化
企業の信頼性向上により、ステークホルダーといった利害関係者との関係を良好になるでしょう。これにより、円滑な企業活動や利益確保などにつながる可能性もあります。
人材獲得・定着への影響
社会的信頼性やブランド価値が上がることで、求職者から「働きたい」と思われるようになり、志望人数の増加、人材獲得へとつながるでしょう。また、既存従業員の満足度向上にも好影響を及ぼし、エンゲージメントが高い状態で、より長く働いてくれる従業員を増加させることにもつながります。
不祥事などのリスクの低減
CSRに取り組むことは、同時にコンプライアンスを見直すことになるため、内部統制が進み、不祥事などのリスクが低減するメリットも考えられます。
CSR(企業の社会的責任)で取り組む活動
企業が取り組むCSR活動として、以下のような活動が挙げられます。
このうち、一部の活動を以下でご紹介します。
・環境保護
・地域貢献
・人権尊重・保護
・社会貢献
・健全な労働環境の整備
・資金提供活動
・倫理的なビジネス慣行
・ステークホルダーに対する責任
環境保護活動
環境保護を目的とした、限りある資源を大切に利用し、省エネや省資源、持続可能な調達方法などを目指す活動です。CO2排出量の削減、脱炭素などが該当します。
地域貢献活動
地域社会の一員としてコミュニティへと参画し、協力関係を構築するために、地域環境を守るためのボランティア活動やインフラ整備に対する投資を行います。
人権尊重・保護
人権を尊重し、配慮された取り組みを社内外において推進します。社内では、ダイバーシティ(多様性)を考慮した障がい者雇用やハラスメント防止などの取り組みが挙げられます。
社会貢献プロジェクト
大規模災害が起きた後への被災地支援や、医療体制が整っていない海外地域への医療支援などの社会貢献プロジェクトです。上記のような環境保護、地域貢献といった活動とも密接に関連しています。
CSR(企業の社会的責任)活動の事例
日本におけるCSR活動の事例をご紹介します。
セブン&アイグループ
総合流通事業を行うセブン&アイグループは、世界中から原材料を調達する中、人権尊重・環境保全等に配慮した、持続可能な調達原則・方針を打ち立てています。
調達原則としてコンプライアンス・国際的な規範の尊重、人権の尊重、環境・生物多様性保全と課題への対応、社会課題解決への貢献、ステークホルダーとの対話と協働、新しい技術の活用の6つを掲げながら、取り組みの進捗を開示し、透明性も高めています。
NTT東日本
通信事業を行うNTT東日本は、CSR調達活動の取り組みとして、サプライチェーンサステナビリティ推進ガイドラインを策定しています。サプライチェーンのグローバル化と複雑化している中、変化の激しい世界的な環境に対応するべく、このガイドラインでは人権や環境への配慮、製品やサービスの品質・安全性の確保など、社会の要請に配慮した調達について、グループ企業全体が取り組むための基準を定めています。
CSR(企業の社会的責任)に取り組む上での注意点
CSRに取り組むにあたって、次の点に注意しましょう。
自社に適したCSR活動を行う
CSR活動は、企業独自の取り組みであるため、自社をとりまく環境に応じて責任は変化し、活動内容は異なります。自社に求められる最適な活動を選択する必要があるでしょう。
投下するリソースと見込めるリターンを分析する
日本は海外市場と比較して、CSR活動の投資額が少ないと言われていますが、本業に差し支えるほどのリソース投下は本末転倒です。見込めるリターンを分析して投下に対する効果を試算しましょう。
適切な体制を構築する
CSR活動に取り組む部署として、総務や広報などに偏る傾向にあります。持続的で十分な取り組みを進めるには、特定部署の負担が重すぎないよう、適切な体制構築が有効といえます。
まとめ
CSR活動は、近年、改めて注目されており、多くの企業が力を注いでいます。自社にとって最適な取り組みを最適なリソースや体制にて行いましょう。
またCSR活動の取り組みの一つに、企業ミュージアムの設立があります。社内外に自社の取り組みを発信すると共に、社会貢献につながる内容を含めることも可能です。
企業ミュージアム設立をご検討の際には、ぜひ丹青社にお問い合わせください。