ESGとは?意味からSDGs・CSRとの違い、取り組み方法や事例まで解説

Date: 2025.10.10

近年、「ESG」という言葉をよく目や耳にするようになりましたが、その意味や社内で具体的に何をすればいいのか、わからないこともあるのではないでしょうか。今回はESGの概要を簡単にわかりやすく解説します。また投資の種類、方法、事例などもあわせてご紹介します。

ESGとは?

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス/企業統治(Governance)の頭文字をとった言葉で、企業経営において必要不可欠と考えられている要素です。主に投資家視点の用語です。

近年は地球温暖化や大気や水質汚染などの環境問題や人種差別、人権問題、不正会計や不祥事などの問題が多発しており、持続可能な経営を目指し、ESG課題に取り組む「ESG経営」に注目が集まっています。

投資家の中では、ESGの要素に対して積極的な取り組みを行っている企業に投資する動きが顕著になってきており「ESG投資」とも呼ばれています。

ESGとSDGs、CSRとの違い

ESGと似た言葉との違いをご紹介します。

SDGsとの違い

SDGsは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことで、2030年までに持続可能でより良い社会を目指す国際目標です。ESGと重なるため、取り組む企業はSDGs達成に貢献しやすくなります。

CSRとの違い

CSRは「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)」のことで、企業を取り巻く社会や環境に対して責任を持って取り組むことを指します。ESGが投資家視点なのに対して、CSRはステークホルダーに向けた企業視点のワードである点で異なります。

ESGを取り巻く潮流や背景

ESGが近年、注目されているのは、主に2006年に国連で提唱された「PRI(国連責任投資原則)」にあります。ESGの視点を取り入れることを機関投資家(※)の投資原則とし、持続可能な社会の推進を目指すことを含めました。

機関投資家の多くはそれに賛同したことで、企業はそれに対応する必要が出てきた経緯があります。

※機関投資家:国の政府年金基金や保険会社、信託銀行などの規模の大きい団体や法人投資家

ESG投資の種類

投資家は、ESGをどのように投資へ取り入れているのでしょうか、それを知るために、ESG投資の種類を押さえておきましょう。ESG投資には、複数の種類があります。中でも主な7種類を解説します。

ネガティブ・スクリーニング

投資先の選定において、あらかじめESGに適さない要件を決めておき、投資対象を除外する方法です。(武器や原子力、ポルノなど)

ポジティブ・スクリーニング

企業のESG課題への取り組みに対する評価やESG関連指標の高さをもとに投資先を決める方法です。

国際規範スクリーニング

国際規範の基準に達していない企業を投資対象から除外する方法です。
国際規範の例)国連グローバル・コンパクトなど

ESGインテグレーション

従来から投資判断に用いられていた財務情報に加え、ESG要素を取り入れ、総合的に判断する投資方法です。

サステナビリティ・テーマ投資

気候変動や水源、エネルギー効率などESGにおける特定のテーマを投資のアイデアとする方法です。

インパクト・コミュニティ投資

インパクト投資(※)の一種であるコミュニティ投資は、地域社会の活性化や問題解決を目的とする投資です。

※インパクト投資:財務的リターンと共に、環境や社会におけるインパクトを生み出す投資のこと。

エンゲージメント/議決権行使

エンゲージメントとは、投資家と企業間の対話を指します。投資家は議決権行使や直接対話などを通じてESG課題に対する取り組みの確認や改善要求などを企業に対して行い、投資活動に活かします。

企業がESGに対応する方法

投資家や社会的要請を受け、企業がESGに対応するには、投資家などに向けた積極的な情報公開にあります。ESGに関する透明性を高め、信頼を得ることが重要です。

具体的には統合報告書や有価証券報告書の公開、投資家向け説明会の開催などが挙げられます。

また社内体制を整えることが欠かせません。取締役会の監督体制の確立により、経営者や業務執行に対して公正な目で判断を下せるガバナンス体制を整えることが重要です。

企業がESGに取り組む際の注意点

ESGに取り組む際には、次の注意点を押さえておくことがポイントです。

グリーンウォッシュにならないようにする

グリーンウォッシュとは、実態の伴わない環境施策を指します。例えばCO2排出量の低減を目指しつつ、それほど変化のない数値を公表するなどすることで、見せかけの取り組みと判断されかねません。

長期的な取り組みの体制を整える

ESGの成果が出るには数年かかるものです。経営やキャッシュフローの観点から短期的な視点で成果を上げようとするのではなく、長期的な視点で取り組むことが大切です。

ESGの事例

続いては、ESGを実践している企業の取り組み事例をご紹介します。

アパレルメーカー

ある国内のグローバル展開しているアパレルメーカーは、サステナビリティを事業戦略の中核に位置付けており、人や地球環境、地域社会の課題解決のために取り組んでいます。
その中でESGの観点ではサステナビリティレポートを策定してわかりやすく公表しているほか、詳細はWebサイトやデータブックで公開しています。

自動車メーカー

ある国内の世界的に名を馳せる自動車メーカーはESGに対する取り組みを積極的に行っており、ESGの3つの分野いずれもグローバルで高評価を得ています。

環境面では60年以上も前から温室効果ガス排出量の削減に努めており、社会面では人権の尊重やダイバーシティ&インクルージョンに対応、ガバナンス面ではコーポレートガバナンスやリスクマネジメントなどに取り組んでいます。

まとめ

ESGは投資家視点の環境、社会、ガバナンスにおける取り組みです。社会的要請が高まる中、いかに自社の方針や事業に合わせた適切な取り組みを推進していけるかが重要です。

ESG経営に取り組む企業へおすすめなのが、企業ミュージアムの設立です。自社の取り組みを社内外にわかりやすく伝える効果的な手段です。

丹青社では、創業以来70年以上にわたり、各業界のリーディングカンパニーや、自治体、官公庁などの空間づくりを手がけてきたノウハウを活かし、企業ミュージアムの企画から設計、制作、運営までを一気通貫で行います。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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