コラム

デジタルミュージアムとは?最新技術をご紹介

近年、博物館や美術館などのデジタル化が進んでおり、デジタルミュージアムという言葉もよく耳にするようになりました。デジタルミュージアムとは、どのような意味があり、どのような技術を用いて、どのような展示を提供することができるのでしょうか。
現在、デジタルミュージアムで活用されている主な最新技術をご紹介します。

デジタルミュージアムとは

デジタルミュージアムとは、従来の館内に展示された展示物を目で見て回るミュージアムとは異なり、デジタル技術を用いることで、五感を使った体験ができる施設のことを指します。

例えば、従来では運営スタッフが美術品などの作品解説を提供するケースが多くありましたが、現在では来場者の手持ちのスマートフォンに情報を配信してスマートフォン上で音声ガイドはもちろん、展示情報を配信する技術も活用されています。

また、高精細デジタル化技術を用いて、対象作品を3Dデジタルデータ化して再現し、空中に3Dホログラムとして投影して動きを持たせて見せるといったことも行われています。

デジタルミュージアムは、このように多様な見せ方ができるメリットがあります。今後、さらなるデジタル技術の進歩により、その可能性は広がっていくと考えられます。

デジタルミュージアムで実現できること

デジタルミュージアムでは、どのようなことが実現できるのでしょうか。主に、次のことが考えられます。

 

来場者の興味や好みに基づいた展示閲覧や体験を提供できる

従来では、施設のスペース的な制約などがあり、ミュージアム提供側が取捨選択した情報を提供するだけに留まっていました。

一方、デジタルミュージアムでは蓄積された膨大なデジタルアーカイブデータをデジタルデバイスを通じて公開することができます。例えば、タッチ式ディスプレイを備えた情報閲覧システムを設置し、来場者自ら操作して必要な情報を選択しながら閲覧できるようにすることで、来場者の興味や好みに基づいた閲覧や体験を提供することができます。

 

来場者への教育コンテンツを充実させ、学習体験を深めることができる

情報閲覧システムは自由度の高いコンテンツや見せ方が可能になることから、教育コンテンツという意味合いでも提供できます。例えば、クイズ形式にして来場者にクイズに答えてもらうことで楽しんでもらいながら、知識として定着させることができます。

また従来の物品展示では公開できなかったものも、デジタル化して再現することもできます。例えば、現存しない美術工芸品を3D化したものを公開することで、写真などよりもリアルに実感することができます。

また実物があるものでも、従来のガラスブース内の展示ではむずかしかった背面の観察ができるようになることで、より深い学びを提供することが可能です。

 

さまざまな言語に対応することができる

デジタル技術を用いれば、多言語化が容易になります。スマートフォンを用いたガイドに多言語バージョンを用意するほか、情報閲覧システムでもディスプレイのタップ一つで言語を切り替えられる仕組みを作れば、訪日外国人も閲覧しやすくなるでしょう。

 

身体的に制約がある人でも楽しむことができる

従来の目で見るだけの視覚的な展示は、例えば目が不自由な人に対しては与えられる情報が極端に少ないのが現実でした。デジタルミュージアムであれば、聴覚や触覚などを通じて体験できる展示を行うことができるため、身体的な制約ありなしに関わらず、多くの人に楽しんでもらうことができます。

デジタルミュージアムの最新技術をご紹介

近年、ミュージアムに実装されることが多いデジタル技術をご紹介します。

 

ガイドのスマートフォン化

来場者のスマートフォンや携帯電話、タブレット、PCなどを施設や展示のガイダンス端末にする技術があります。例えば、アプリのダウンロードなどは不要で、携帯電話回線や無線LANを使用して情報配信できるシステムなら、来場者が自身の端末で手軽にガイドを参照しながら館内を見て回ることができます。また多言語対応も容易にできるので、訪日外国人にも対応可能です。

 

情報閲覧システム

前述のように、館内にタッチパネル式のディスプレイを設置し、来場者自ら、膨大な情報の中から好みの情報を選んで取得することが可能な情報閲覧システムがあります。

ミュージアム提供側にとっては、情報をアーカイブ化できる一つの機会になり、来館者にとっては文字、画像、動画、音声・音楽などを通じた五感で楽しめる多彩な情報体験ができるコンテンツとなります。

 

高精度3Dデジタル化

展示品を高解像度に撮影した画像などから3Dデジタルデータを生成し、デジタルアーカイブ化する技術が近年、発達しています。立体的な作品や建築物などは3D化によって、よりリアリティのある展示が可能になります。

 

バーチャル体験システム

ただ情報を閲覧できるだけでなく、VR(バーチャルリアリティ)の技術を用いれば、バーチャルの世界における体験を提供することも可能です。
例えば、来場者は実際に自分が道具を使って何らかの行動をとったり、現存しない過去の歴史的なイベントや世界観に身を置いたりすることができます。

 

資料データベース

蓄積している膨大な資料をデジタル化してデータベース化する技術が、広く取り入れられています。近年は、資料整理をPCで簡単に行えるソフトウェアも開発されており、手軽に利用することができます。このようにミュージアム運営側の負担軽減、業務効率化につながる技術も増えています。

デジタルミュージアムの事例紹介

デジタルミュージアムの事例を2つご紹介します。
 

限られた空間の中でデジタルメインの展示を採用

ある大手食品加工メーカーの創業90周年の記念事業として創業の地で記念館を設立しました。創業者の功績、技術の紹介など多くの内容を伝える施設にしたいというテーマを持つ一方で、マンションの一室と同区画の86㎡(約26坪)という限られた空間という制約もありました。
映像・情報コンテンツをベースとしたデジタルメインの展示を採用することで、来館者(社員、取引先、業界関係者、学生、地域の方)に合わせて展示内容が変えられるシステムを構築。限られたスペースで余すことなく情報を発信することができる施設にすることができました。

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バーチャル映像と連動した楽器の自動演奏が楽しめる

「音・音楽」を形にすることをテーマに楽器メーカーのブランド体験発信の拠点としてつくられました。音や楽器をモチーフにした空間構成に加えて、音に触れることができる体験コンテンツを散りばめることで音楽を楽しむことができる空間を実現しました。
バーチャル映像と連動した楽器の自動演奏が楽しめるコンテンツや音を可視化する映像コンテンツなどデジタル技術を使った空間演出を行っています。

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まとめ

デジタルミュージアムは、来場者にこれまでにない新しい体験を提供することができる特徴があります。今回ご紹介した技術も、ミュージアム運営側の工夫により、さまざまな活用方法が考えられます。また技術革新により、さらにこれまでになかった新しいミュージアムの実現も可能になるでしょう。

デジタルを取り入れたミュージアムをお考えなら、丹青社へお問い合わせください。

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