ショールームとは?目的や役割から開設におけるポイントまで解説
Date: 2025.02.26

目次
- ショールームとは?
- ショールームの目的・役割
- マーケティングコミュニケーション
- ブランディング(広報)
- プレゼンテーション(営業)
- ショールームを設置するメリット
- 製品・サービスの魅力を効果的に伝えられる
- お客さまや取引先の声を聞くことができる
- ブランディングに活用できる
- イベントやキャンペーンで使用できる
- 魅力的なショールームを開設するポイント
- 実空間ならではの仕掛けを施す
- 説明・情報伝達の順番を工夫する
- 思いや価値観も伝える
- 定期的に更新する
- ショールームの事例
- 1.三菱ケミカルグループ ショールーム「KAITEKI SQUARE」
- 2.Canon Gallery
- 3. 宮崎日機装 展示室
- まとめ
ショールームとは?

ショールームとは、企業が自社の製品やサービスを展示し、顧客やビジネスパートナーに直接体験してもらうための施設です。一般的にショールームは製品の実物を展示し、訪問者がその特性や機能を実際に確認できるように設計されています。自動車メーカーや家具メーカー、家電メーカーなど、多くの業界で活用されており、製品の魅力を最大限に伝えるための重要な役割を果たしています。
一方、似た施設である企業ミュージアムを開設している企業も増えています。企業ミュージアムは、企業の歴史や理念、技術の進化などを展示する施設です。製品そのものの展示に加え、企業の歩んできた道や社会的役割を伝えることに重点を置いています。企業ミュージアムは、ブランドの信頼性を高め、企業文化を広く理解してもらうことを目的としています。
ショールームの目的・役割

企業がショールームを運営する理由は多岐にわたりますが、主にマーケティングコミュニケーション、ブランディング(広報)、プレゼンテーション(営業)の3つの側面からその重要性を説明することができます。
マーケティングコミュニケーション
ショールームは、顧客との直接的なコミュニケーションの場として機能します。製品の特長や利点を実際に体験することで、顧客は製品に対する理解を深めることができます。これにより、企業は顧客のニーズやフィードバックを直接受け取ることができ、製品開発やサービス改善に役立てることができます。また、ショールームは新製品の発表やデモンストレーションの場としても活用され、顧客に最新情報を提供することで、より効果的なマーケティングコミュニケーションを実現します。
ブランディング(広報)
ショールームは企業の理念やビジョンを具体的に表現する空間として、訪れる人々にブランドの価値を伝えます。洗練されたデザインやインタラクティブな展示を通じて、企業の先進性や独自性をアピールすることができます。また、ショールームはメディアやインフルエンサーを招待する場としても利用され、広報活動の一環としてブランド認知度を高める役割を果たします。
プレゼンテーション(営業)
営業活動の場としてもショールームは、顧客に対するプレゼンテーションの効果を最大化します。製品の実物を目の前にして、詳細な説明やデモンストレーションを行うことで、顧客は製品の価値をより具体的に理解することができます。営業担当者は顧客の反応を直に観察し、最適な提案を行うことで、商談の成功率を高めることが可能です。
ショールームを設置するメリット

続いて、ショールームを設置するメリットについて詳しく解説します。
製品・サービスの魅力を効果的に伝えられる
ショールームは、企業が提供する製品やサービスを実際に体験できる場です。製品の機能や特徴をカタログやウェブサイトで説明するだけでは伝えきれない部分も、ショールームでは実物を見たり触れたりすることで、より具体的に理解してもらえます。特に、複雑な技術を伴う製品や高額な商品においては、顧客が実際に体験することで購買意欲が高まることが多いです。また、製品のデモンストレーションや試用が可能なショールームでは、製品の優位性を直接アピールすることができ、競争力を高める要素となります。
お客さまや取引先の声を聞くことができる
ショールームは、顧客や取引先と直接コミュニケーションを取る貴重な機会を提供します。訪問者から直接フィードバックを得ることで、製品やサービスの改善点を把握でき、さらなる品質向上につなげることができます。また、顧客がどのようなニーズを持っているのかをリアルタイムで把握することができるため、新製品の開発やサービスの拡充に役立てることができます。取引先との関係構築にも有効で、信頼関係の強化や新たなビジネスチャンスの創出につながるでしょう。
ブランディングに活用できる
ショールームは、企業のブランドイメージを強化するための重要なツールです。企業のコンセプトや価値観を空間デザインに反映させることで、訪問者に企業のブランドストーリーを体感してもらうことができます。統一感のあるデザインや、企業の歴史や理念を紹介する展示などを通じて、訪問者に強い印象を残し、ブランドロイヤルティーを高めることができます。
イベントやキャンペーンで使用できる
ショールームは、製品発表会やプロモーションイベントなど、さまざまなイベントやキャンペーンの場としても活用できます。企業の施設内でイベントを開催することで、訪問者にとって特別な体験を提供でき、参加者のエンゲージメントを高めることができます。また、ショールームを訪れることで、企業の他の製品やサービスにも興味を持ってもらえる可能性があり、マーケティングの効果も期待できます。
魅力的なショールームを開設するポイント

続いて、魅力的なショールームを開設するポイントをいくつか紹介します。
実空間ならではの仕掛けを施す
ショールームは、オンラインでは伝えきれないリアルな体験を提供する場です。そのため、実際に触れることができる製品の展示や、五感を刺激する仕掛けを施すことが重要です。例えば、製品を実際に操作できるインタラクティブな展示や、音や香りを活用した空間演出は、来場者に強い印象を与えます。さらに、製品の使用シーンをリアルに再現することで、顧客が自分の生活に取り入れた際のイメージを具体的に抱けるようにします。
説明・情報伝達の順番を工夫する
ショールームを訪れる人々は、さまざまな背景や目的を持っています。そのため、情報伝達の順番や方法を工夫することで、訪問者が求める情報にスムーズにアクセスできるようにすることが重要です。例えば、製品の特徴や利点を段階的に紹介することで、訪問者が自然な流れで理解を深められるようにします。さらに、インタラクティブなディスプレイやQRコードを活用し、詳細な情報を提供することで、訪問者が自分のペースで情報を取得できる環境を整えることも有効です。
思いや価値観も伝える
製品やサービスの機能や特徴だけでなく、企業の思いや価値観を伝えることも重要です。ブランドの歴史や理念、社会的な取り組みなどを展示することで、顧客に企業の姿勢を理解してもらい、共感を得ることができます。これにより、単なる製品の購入を超えた、ブランドとの深い結びつきを感じてもらうことが可能になります。
定期的に更新する
ショールームの魅力を維持するためには、定期的な更新が欠かせません。製品ラインナップの変更や新技術の導入に合わせて展示内容を刷新することで、常に新鮮な情報を提供することができます。また、季節やイベントに応じた特別展示を企画することで、ショールームを訪れるたびに新たな発見があるという期待感を訪問者に与え、継続的な興味を引きつける要素にもなります。
ショールームの事例

最後に、ショールームの事例をご紹介します。
1.三菱ケミカルグループ ショールーム「KAITEKI SQUARE」
三菱ケミカルグループ(MCGグループ)の特長やビジョンである「KAITEKI実現」を紹介するショールームです。ターゲットは、MCGグループと共創をめざす国内外のビジネスパートナー。KAITEKI SQUAREは、KAITEKI THEATERとMCGグループ製品や技術の展示ゾーンで構成されています。KAITEKI THEATERでは大型ラウンドスクリーンを使用し、未来世界を描いた映像を楽しむことができます。
※ご来館へは、MCGグループ社員を通じてのご予約が必要です。
SDGs達成への貢献に注目し、SDGsを理解して行動につなげていくことが、MCGが経営理念のビジョンとして掲げている「KAITEKI実現」につながるというメッセージを伝えるために、オリジナルの映像コンテンツを制作しました。ストーリーに組み込まれたクイズに来館者が回答し、その結果によりエンディングが変わるマルチエンディング構成とし、何度でも来たいと思わせる仕掛けを施しています。海外からの来館者にも楽しんでいただけるよう、日英中3か国語のコンテンツを用意しました。
2.Canon Gallery
キヤノンの企業像や歴史、すべての製品・サービス・ソリューションを展開するグローバル本社のショールーム。2フロア構成で、プロフェッショナル・オフィス・ネットワークカメラ・ヘルスケアなどのビジネス向けフロアと、カメラ・プリンターなどのコンシューマー製品のフロアに分かれています。
キヤノンの多岐にわたる事業分野の各担当者様と深くコミュニケーションを取りながら、製品情報の整理や露出イメージのバランスを十分に考慮してプロジェクトを進めました。製品の体験だけではなく、展示手法を工夫することでキヤノンの技術力の高さを視覚化し、ビジネスパートナーが直感的にキヤノンの優位性を体感できる展示としています。デザイン面では、キヤノンのカメラやレンズのキ―カラーとなるホワイトとブラックのモノトーンをベースとして、製品が最も際立つ空間を実現しました。
3. 宮崎日機装 展示室
独自の技術力で様々な事業を展開する日機装が、新設した工場に設置した展示室です。発電所向けの水質調整システムや石油化学産業向けのポンプ・システムの開発・供給から、日本初の血液透析装置の輸入・国産化、世界初のCFRP製カスケード(航空機部品)の製造など、専門性の高い製品により市場を創造しながら成長し続けてきた会社の歴史から事業背景、実物製品を展示・紹介しています。
幅広いターゲットに対し、一つの展示で情報を効果的に伝えるため、「伝えたいコトを、伝えたい人に」をテーマに展示を展開。技術力の結晶である実物製品をシンボリックに展示し、インパクトを与え、印象に残すことを狙いました。展示物の背景となる床壁天井はモノトーンで構成し、各事業の持つ多面性はカラーリングで表現。解説にはイラストやアイコンを用い、大人にも子どもにも分かりやすい展示を実現しました。
まとめ
本コラムでは、ショールームとはなにか、目的や役割から開設におけるポイントまで解説してきました。
ショールームは、製品やサービスの魅力を直接伝える効果的な手段であり、マーケティングやブランディング、営業活動において重要な役割を果たします。
実空間ならではの工夫を凝らし、定期的な更新を行うことで、その効果を最大限に引き出すことが可能です。具体的な事例を参考にしながら、自社に最適なスペースの活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。
丹青社では、創業以来70年以上にわたり、各業界のリーディングカンパニーや、自治体、
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