企業ミュージアムづくりの“始め方”|プランナーとのQ&Aで深める「理想を形にするためのロードマップ」

「企業ミュージアムを作ろう」、「ショールームをリニューアルして企業ミュージアムに進化させよう」となった場合、どのようにプロジェクトを始めるのが良いでしょうか?企業ミュージアムは、企業のブランド価値を長期的に発信し、ステークホルダーとのエンゲージメントを高める重要な戦略投資です。その構想から運営に至る道のりは多岐にわたり、緻密な計画が求められます。丹青社には300人弱のクリエイターが在籍し、日々、様々な分野の空間を企画・デザインしています。本記事では、企業ミュージアムづくりの専門プランナーへの質疑応答を通して、漠然とした構想を具体的なプロジェクトへと進化させるための実践的な“始め方”を深掘りします。


※本記事は、2025年11月に開催されたウェビナー「企業ミュージアムづくりの“始め方”」を補完するものです。ぜひ、ウェビナーの動画視聴とあわせてお読みください。
※本記事の副読本として丹青社の資料「企業ミュージアムづくりを考え始めたら ~理想を形にするためのロードマップ~」をお読みいただくと、網羅的な情報を得ることができます。ぜひ、資料をダウンロードいただきあわせてご覧ください。

回答する人:丹青社 デザインセンター プランナー 渡邉 将人

渡邉 将人 わたなべ まさと

株式会社丹青社 デザインセンター
プランニング3部 2グループ グループ長
チーフクリエイティブディレクター

企業広報施設の分野におけるプランニング業務に携わり、広告代理店への出向経験など多彩な場面で培った知見とポジティブな姿勢を活動のエンジンに、「企業に宿る資源(情報)との徹底的な対話」と「カスタマーマインド・ストーリー」を組み合わせたコンセプトプランニングで描く、空間を通じた事業の価値最大化・最適解の提供に取り組んでいる。

Q:企業ミュージアムづくりプロジェクトは一人で対応できますか?

A:企業ミュージアムをつくるきっかけは、たとえば何十周年ですとか何かの節目であることが多いと思います。まず、その企業の中にある情報や、歴史を紐解いていきながら、具体的な形に仕上げていくことになるので、とても一人でできる仕事量ではないと思います。まずは、社内の体制づくりが重要となります。また、仮に仕事量が一人でできる量だったとしても、私たちの経験上、社内外の関係者を巻き込んで進める方が包括的な視点で、より良い企業ミュージアムになると考えます。

Q:社内体制にはどのような役割が必要ですか?

A:体制表の例をご覧ください。責任者(決裁者) に加え、 推進担当者を最低 2名以上設置することが 望ましいです 。また、 進捗状況や、細分化されたコンテンツに応じて追加で人員を加えていくことが必要です。たとえば、「展示・企画」をご担当されると言っても、展示内容を単に企画する役割だけでなく、経営的、広報的な観点からの判断や確認も必要でしょう。企業ミュージアムづくりは、ミクロ・マクロの視点が交錯します。走りながら「この役目をやる人がいない…」ということがないように、はじめから、ひと通りの役目を仮定した上で、関係者へ確認しておくことが大事です。

体制表の例

Q:体制にプランナーって必ず必要ですか?(デザイナーがいればできるのではないですか?)

A:もし、プロジェクトチームに、学芸員としての能力を有している方が参画されているのであれば、プランナーは不要かもしれません。ただ、企業においては、公共施設などの博物館や美術館のように、当たり前に学芸員がいらっしゃることが稀有です。その状況をふまえますと、企業ミュージアムづくりにおいて、プランナーは必須と考えます。また、展示物や体験の企画、編集を行うだけでなく、どんな体験が必要だからこんな空間にしたいといった方針や方向性を、デザイナーに示すこともプランナーの大事な仕事です。まさに、展示するべきコンテンツの特性をふまえ、空間デザインに接続するスキルが求められます。専門性が求められる役割なので、内部にそうした機能やノウハウがないならば外部委託されることをお勧めします。

Q:プロジェクトメンバーが共通のイメージを持つために「参考類似施設を設定」し、「視察を支援」するとのことですが、ベンチマークを設定・活用するにあたり、成功と失敗の分かれ目となる「視察の目的設定」のポイントはどこにありますか?

A:まずプロジェクトチームの中で、ヒアリングシートを作ります。視察に行ったときに聞くべきことをまとめています。たとえば、何人働いているか? 実際、どんな方がご来場しているのか、年間の来場者数は…などです。弊社企業ミュージアム特設サイト内の資料に「視察・見学のすすめかた」がありますので、ぜひ、そちらをご覧ください。チェックポイントについて解説しています。

Q:資料では「基本構想で約3か月、基本設計から開業まで約2年」というスケジュール目安が示されています。期間を短縮できるポイントがあれば教えてください

A:まず、建築ができている前提で約2年とお考え下さい。新築は建築を作る前に申請が必要なのでもっと時間がかかります。短縮することは、なかなか難しいのですが、基本構想という最初期の段階を煮詰めて、関係者で合意形成しておくことが結果的に最短のルートを辿る秘訣だと考えています。

Q:概算でも良いので、予算感(初期投資・運営費)の目安を教えてもらえますか?

A:規模やその内容により大きく異なるので概算でも一律な回答が難しいです。予算の設定方法は様々ですが、プロジェクトのあるべき姿を考え、それを実現するために必要な予算をまず算出してみることから始めることが多いです。そのためには基本構想が重要です。企業ミュージアムの立ち上げや運営においてどのような業務があるか解説した資料があります。こちらをご覧頂ければ、イメージされる規模や内容に当てはめて推定することができると思います。

Q:企業ミュージアムの運営の組織体制のひな型はありますか?

A:運営組織の例をご覧ください。全体を統括し本社との調整や取材や顧客などの外部との対応をする館長。現場を統括する運営マネージャー。そして、受付、アテンド、見学ツアーなどのスタッフが必要です。

運営組織の例

企業ミュージアムづくりを始めるプロジェクト化支援

ウェビナー「企業ミュージアムづくりの“始め方”」を補完する本記事、いかがでしたか?ウェビナーでは語れなかった内容を質疑応答形式でご覧いただきました。企業ミュージアムづくりに取り組まれる一助になれば幸いです。

丹青社は様々な空間づくりの経験をふまえ、数多くの企業ミュージアムづくりをお手伝いしております。本記事とあわせて、ウェビナー「企業ミュージアムづくりの“始め方”」をご視聴いただき、作り方の3ステップをまとめた資料「理想を形にするためのロードマップ」等をご覧いただけると、さらに包括的に丹青社の方法論をご理解いただけると思います。

具体化をご検討であれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ウェビナー「企業ミュージアムづくりの“始め方”」のアーカイブ動画はお申込いただいた方へ公開しております。

この記事を書いた人
山崎 泰 / 丹青社「場と人」編集長・ジャーナリスト

丹青研究所での商業施設の調査・企画業務の後、1997年に丹青社の社内新規事業「Japan Design Net(JDN)」創業に参加。メディア「JDN」「登竜門」の編集長、コンテスト制作事業立ち上げを経て2011年にJDN取締役。2025年、丹青社に移籍。デザインに関する取材執筆多数。趣味はサックス演奏。

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