コラム

インナーブランディングを促進する企業ミュージアムの可能性~社員のこころに響く体験を通じて「自分ごと」化につなげる~

企業には様々なステークホルダーが存在します。
お客さまや取引先、株主などが思い浮かびますが、近年では社員とのつながりも注目されています。
なぜなら、企業が掲げた理念やビジョンは、自ずと実現されるものではなく、社員が体現するものだからです。
社員が自社を深く理解し、向かうべき未来へと進めるようにする。
自社の理念や価値観を浸透させるためのインナーブランディングについて考えることは
企業の成長にとって非常に重要です。

【関連コラム】インナーブランディングとは?目的や具体的な施策をご紹介

企業や事業が成長するにつれ、そこで働く人材も多様化していきます。
インナーブランディングにあたっても、自社に関する知識や理解度の異なる社員ひとりひとりに響かせるための工夫が必要です。
今回はインナーブランディング成功の秘訣と、それを実現させる企業ミュージアムの可能性をご紹介します。

インナーブランディングの難しさ

組織の一員として日々仕事に取り組んでいる社員に自社について知ってもらうことは、そう難しくないように思えるかもしれません。

しかし、
「各自の業務には精通していても、他の部門の取り組みを知らない」
「若手や中途入社の社員が過去の出来事を知らず、経験を共有できない」

といったことは多く聞かれます。
特に、企業が成長して規模が大きくなったり、歴史が長くなったりすると、
自社をあらゆる面から理解することはますます容易ではなくなっていきます。

さらに、インナーブランディングはただ自社について知ってもらえればよいのではありません。
企業理念や価値観、ビジョンやミッションを自分ごととしてとらえてもらい、
社員がそれを体現しながら、高いモチベーションで働くようになることが目的です。

社員はそれぞれ自社に対する知識や理解度も異なれば、立場や背景も異なります。一様に理念を伝えただけで、全員の行動を変えるのは難しいでしょう。

インナーブランディングには
1. 理念や価値観、ビジョンやミッションというかたちのないものを伝える
2. 一人一人異なる社員を相手にする
という2つの難しさがあります。

成功の秘訣1:イメージを活用して概念を伝える

自社の理念や価値観への共感は、社員のエンゲージメントを向上させ、働く喜びにつながります。
しかしながら、深く歴史を知らない新しく入社した人材には実感がわきにくく、
理解や共感を得るのが難しいこともあるでしょう。

こういったかたちのない概念的なものを浸透させ、共感を得るためには「イメージ」が重要です。
理念や価値観を体現して働く人々の行動や、企業として目指すビジョンやミッションが実現したことで変化する社会の様子など、具体的なイメージにまで落とし込むことがポイントといえます。

成功の秘訣2:共通点・相違点を踏まえ、様々なアプローチで伝える

同じ企業で働く社員には、ある一定の共通点があります。
例えば
・全部ではなくても事業について一定程度の専門知識がある
・企業で起きた大きな出来事やその経緯について認識している
・事業領域に関連がある社会の動向についての関心が高い

などといったものです。
こうした共通点を活用することで、多くの社員が関心を持つテーマを見つけることができます。

反対に、社員一人一人の違いにも目を向けてみます。
経験豊富で専門性の高い社員にとってはより高度な情報が得られた方が有意義だと感じられるかもしれませんが、
まだ経験が浅い新入社員や専門分野が異なる社員などには
概略だけでも幅広い情報に触れられることの方が必要とされるかもしれません。

インナーブランディングを成功させるために重要なのは、
このような前提を踏まえたうえで、様々なアプローチを用意することです。
同じテーマについて発信する場合でも、
言葉で伝える、実際の製品を見せる、映像で伝える、対話を生むコンテンツを用意するなど、
切り口を変えた様々な手法を用いることで、社員それぞれに響く仕組みの実現につながります。

インナーブランディングにおける企業ミュージアムの可能性

インナーブランディングを成功させるために有効な手段として、企業ミュージアムの活用が挙げられます。

企業ミュージアムとは、企業の歴史や製品、史料などを展示したり、
事業やサービスについて理解が深まる仕掛けを組み込んだりと、
様々な手法を駆使して企業活動を知っていただく施設のことです。

従来は製品や技術の紹介といったショールームとしての機能を中心とした施設が多く見られていましたが、
企業の歴史や事業のあゆみ、今後のビジョンなどを紹介するケースも増えています。

展示や映像、体験性のあるコンテンツなどの様々な手法を活用できる企業ミュージアムは、
一人一人異なる社員それぞれに寄り添った伝え方が可能です。

さらに、企業ミュージアムには、イメージしやすい方法で理念や価値観を伝えられるという特徴があります。

例えば
・創業者の精神をストーリー仕立てで紹介し、共感をよぶ
・先人たちの言葉を象徴的に展示し、印象付ける
・歴代の製品や過去の貴重な史料の実物を展示し、歴史を実感させる

などが挙げられます。
伝えたいメッセージに合わせ、さまざまな感覚を刺激する展示や演出手法を効果的に用いれば、
体験とともに記憶に深く残すことが可能になります。

五感を刺激する「体験」のメディアである企業ミュージアムの活用を通じて、
未来に引き継いでいきたいさまざまな想いを、よりこころに響くメッセージとして届けることができます。

リアルな空間ならではの利点を活かして、インナーブランディングに向けた研修やイベント開催の場としても活用が進んでいます。

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