コラム

インナーブランディングとは?
目的や具体的な施策をご紹介

Date: 2022.03.29

企業が競争力を高めるために、ブランディングを実施することは一般的になっていますが、近年、社内向けのインナーブランディングを実施する動きも見られます。社外に対するブランディングとの違いや目的と効果、具体的手法と成功事例をご紹介します。

インナーブランディングとは?

インナーブランディング(Inner branding)とは、内部に対して行われるブランディングのことです。企業でいえば社員に対するブランディングを意味します。

ブランディングとは、企業や自社の商品・サービスの価値に対するイメージを向上させることを指します。一般的にブランディングといえば、企業そのものや自社ブランドを対外的に打ち出す「アウターブランディング」のことを指すことが多いです。

アウターブランディングとの違い

アウターブランディング(Outer branding)とは、社外に向けて行うブランディング活動のことです。
社外へのブランディング活動と聞くと、BtoCビジネスの企業が行う一般消費者に対する取り組みとしてイメージしがちです。
しかし、BtoBビジネスを展開する企業においても、企業イメージ向上、競合他社に対する自社製品や技術の優位性のアピール、人材確保などのために、様々なステークホルダーに対してアウターブランディングに取り組むケースは多く見られます。
インナーブランディングとアウターブランディングの違いは、インナーブランディングは社内に対するブランディングであるのに対し、アウターブランディングは社外のあらゆるステークホルダーに対するブランディングであるということです。

インナーブランディングの目的

では、なぜインナーブランディングが必要なのでしょうか。
インナーブランディングを実施する目的を解説いたします。

 

インナーブランディングの目的

インナーブランディングの目的は、社員に対して、企業理念や価値観を共有し、正しく認知・認識した上で、体現してもらうようにすることです。

企業が事業を進め、社会に貢献し利益を出していくためには、どれだけ経営層が企業理念に基づいて経営を行っていたとしても、内部にいる社員の意識が統一されていなければ、社会に貢献し利益を生み出すという企業の目標を達成することは困難でしょう。

インナーブランディングを実施することで、企業理念や価値観を社内に正しく浸透させることができ、企業としての意識が統一され、企業として目指すべきビジョンやミッションの実現が可能になります。そのためには、社員がただ理解するだけでなく、自分ごと化して、組織の一員であること、そしてその組織の理念を体現しながら業務を行っていくことが重要です。

インナーブランディングによって期待できる効果

ここで、インナーブランディング実施することで得られる効果を3つご紹介いたします。
 

 

●社員のロイヤリティ・モチベーション向上

社内に企業理念が浸透し、社員がそれに賛同して共感することで企業へのロイヤリティが高まります。同時にエンゲージメントも向上するでしょう。また、会社に対する好感度や愛着が増すことで社員のモチベーションの向上も期待でき、離職率低下にもつながると考えられます。

 

●コミュニケーションと連帯感を生み出す

単純に個々人に影響を与えるだけではありません。企業理念やビジョンに対して、社員同士、もしくは経営層対社員の対話が生まれ、組織・チームとしての連帯感も生み出します。
その結果、新しいアイデアやクリエイティブな活動へと導かれ、新しい価値の創出、企業としてのイノベーションにもつながる可能性があります。

 

●社員自ら対外的に情報発信の担い手になる可能性も

社員が企業理念を体現すれば、社外の人と交流を持った際に、かかわる相手に少なからず企業理念が伝わると考えられます。場合によっては、社員自ら対外的に自社の魅力を伝える具体的な行動を起こすことも考えられます。そうなれば、採用やアウターブランディングにも好影響をもたらす可能性があります。

 

インナーブランディングを社内に浸透させる具体的手法

インナーブランディングは、経営層から実施するものではありますが、経営層が推し進めたとしても、実際に社員に浸透しなければ意味を成しません。社内にインナーブランディングを浸透させる具体的な手法を確認しておきましょう。
 

 

●オフィスデザインへの工夫

オフィスのエントランスに企業ロゴやコーポレートカラーを施し、企業理念やブランドメッセージを掲げるなどすることで、ブランディングを行います。

 

●トップメッセージの発信

企業理念やビジョンに基づく、定期的なトップメッセージの発信は直接的に言葉で社員に響くことから、非常に重要なインナーブランディング活動といえます。

 

●社内報の配信

社員自ら提案、取材、構成する社内報もインナーブランディングとして効果的です。トップメッセージや企業の方向性などをその都度盛り込めるほか、各社員がどのような意識で仕事をしているのかを共有することが可能です。

 

●社内イベント・ワークショップ開催

業務以外の活動やコミュニケーションの場を作ることで、部署・部門をまたいだ交流が実現するほか、理念浸透や意識統一のためのワークショップを行うことそのものにも意味があります。

 

●意見交換会

経営層が現場に下りていき、直接意見交換を行う場を作ることは、インナーブランディングの一環となり得ます。会議の形式に限らず、経営層が現場に足を運び、実際の業務を見て、話すことも含まれます。

 

●社内SNS

社内SNSは、直接対話しない相手とのコミュニケーションを実現し、部署・部門も超えたコミュニケーションも可能です。

 

●エバンジェリスト表彰

エバンジェリストとは、ブランディング活動においてブランド価値を伝える伝道師のことです。積極的にインナーブランディングにかかわる活動をした人を表彰するコンテストの定期的な開催などによって、自らインナーブランディングのために動く社員を作り出すことができます。

 

●企業ミュージアムの創設

企業の歴史や理念、業績、商品・サービスなどのあらゆる企業活動を展示するミュージアムを創設します。空間全体を使って魅力を伝えることができるため、より印象的に伝えることができます。社内研修や教育の場としての活用も可能な上、社員はもちろん、ステークホルダー、社外にも企業価値を広めることが可能です。

 

インナーブランディングの成功事例

インナーブランディングに成功している企業の事例をご紹介します。

 

オフィスデザインに企業理念をそのまま反映

あるアウトドアブランドを手がける会社は、オフィスデザインに自らのキャンプ・アウトドア製品をそのまま取り入れ、いわゆるよくあるオフィスとは一線を画したワークスペースを作り出しています。人生にアウトドア精神を取り入れるコンセプトを掲げていることから、そうした開放的なオフィスで働く社員にその理念が浸透しています。そこで働くということそのものがインナーブランディングになっているのです。

 

役員が自らサービス提供する機会を作る

あるアミューズメントパークを運営する会社は、日頃、お客様をおもてなしするスタッフとして働く社員に対して、役員がそのスタッフやその家族をおもてなしする日を設けています。これは一種の社内イベントでもあり、意見交流会でもあります。役員と現場の交流が実現するだけでなく、役員自ら理念に則っておもてなしとサービスを提供するその姿を見せることにより、スタッフたちは原点に立ち戻ることができます。

 

企業ミュージアムで会社と事業の歴史をわかりやすく展示

周年事業として、医療などの幅広い産業を展開する企業は、企業ミュージアムをリニューアルしました。企業全体と事業の歴史を分かりやすく紹介し、これまで社会に貢献してきた圧倒的な製品と技術を分かりやすく魅力的に見せることにより、社員はもちろん、ゲストとのエンゲージメントを強化することに成功しました。
エントランスの壁一面に広がるデジタルサイネージや壮大な歴史を感じられる展示室のほか、実際に製品を触って体験できるコーナーも作り、この会社を五感すべてで感じられる場を創り出しました。

インナーブランディングのよくある失敗事例

インナーブランディングのよくある失敗事例を4つご紹介します。

 

1.従業員に対する情報提供の遅れ

従業員に対する情報の提供が遅れることで、ブランドのメッセージがなかなか浸透しないことがあります。

 

2.従業員の参加意欲が低い

大企業などでは、地方にある支社や工場などではブランディング施策への参加意欲が低くなってしまうケースがあります。

 

3.従業員の声が反映されていない

上層部だけで推し進めた結果、従業員がそのブランディングに価値を感じないケースがあります。

 

4.結果が出るのを急いでしまう

インナーブランディングは数値として効果を測定することが難しく、短期で成果に表れないことが多いです。

インナーブランディングを失敗しないために

インナーブランディングでは「取り組み始めたものの、思うような効果がでない」「施策に対しての社員からの反応が思わしくない」といった声がよくあります。

インナーブランディングを失敗に終わらせないためのポイントを2つご紹介します。

 

中長期的な目線で取り組む

インナーブランディングの取り組みは、すぐに効果として現れないことが多くあります。
目先の成果ばかりを意識して取り組みをすぐにやめてしまうことが失敗の要因の一つとなります。
企業理念や自社の価値を社員に浸透させるには、社員が施策を通じて理念や価値を自分ごととしてとらえて、理解を深めることが欠かせません。
そのためある程度の期間が必要になることを理解し、取り組みを時間をかけて継続し、効果を段階的に計るようにしていくことが重要になります。

 

従業員が無理なく受け入れられるかを考えて取り組む

経経営者がインナーブランディングを進めることにこだわりをもち、企業理念の浸透に固執しすぎてしまうと、不快に思う社員も出てきてしまい、それが失敗へと繋がる可能性があります。
インナーブランディングの目的は理念の浸透そのものではなく、社員が理念に共感し、業務の中で体現することです。
そのため、理念を覚えてもらうことではなく、社員一人一人が自社の魅力や理念に気づきを得られるかを重視することが必要です。
どのような施策を打つかを検討する段階で、社員に無理なく受け入れられる仕組みづくりができているかという点を確認しながら進めることも重要となります。

まとめ

インナーブランディングは、企業理念やビジョンの浸透、社員の意識統一など企業にとって多くのメリットを生み出し、事業の成功へと導いてくれます。
丹青社では、インナーブランディングを実施する方法の一つとしてご紹介した企業ミュージアムの企画、設計、制作、運営を一気通貫でお手伝いしております。
実際に企業ミュージアムを制作することで、インナーブランディングに成功している企業様の成功事例も数多くあります。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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