ESG経営とは?概要からメリット、課題まで基礎から解説
Date: 2025.02.26

本コラムでは、ESG経営の概要や、関連する用語の違いなどの基礎知識から、ESG経営がもたらすメリットや進める上での課題、具体的な企業事例について解説します。
目次
ESG経営とは?

はじめに、ESG経営に関する基礎的な内容について解説していきます。
ESG経営の概要
ESG経営とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を重視した企業経営のアプローチを指します。これは、企業が持続可能な成長を遂げるために、環境への配慮、社会的責任の履行、そして健全な企業統治を行うことを目指すものです。ESG経営は世界で、従来の財務的な指標だけでは測れない企業価値を評価するための新たな基準となっています。
ESG経営が必要とされる背景
ESG経営が注目される背景には、地球環境問題の深刻化や社会的課題の顕在化があります。これに伴い、企業活動が環境や社会に与える影響についての関心が高まり、投資家や消費者からの要求も厳しくなっています。近年では、ESG要素を考慮した投資が拡大しており、企業のESGパフォーマンスが企業価値に直結するケースも増えています。また、規制や法令も厳格化しており、企業はこれらに適応することが求められています。このような背景から、ESG経営は企業の重要な戦略となっています。
ESGと関連する用語との関係性と違い
ESGとSDGsの違い
ESGとSDGsは、いずれも持続可能性を追求する概念ですが、その焦点と対象が異なります。ESGは主に企業の経営戦略における環境、社会、ガバナンスの3つの側面に焦点を当てています。一方、SDGsは国連が定めた17の持続可能な開発目標であり、より広範な社会的課題を解決するための国際的な指針です。企業はESG経営を通じて、SDGsの達成にも貢献することが期待されています。
ESGとCSRの違い
CSR(企業の社会的責任)は、企業が社会に対して責任を果たすことを目的とした活動を指します。ESGはCSRを包括する概念であり、CSRが主に社会的責任に焦点を当てるのに対し、ESGは環境、社会、ガバナンスの3つの側面をバランスよく考慮します。ESG経営は、CSR活動を戦略的に組み込み、企業価値を向上させることを目指しています。
ESGとSRIの違い
SRI(社会的責任投資)は、投資判断において企業の社会的責任を考慮する投資手法です。ESG投資はSRIの一部であり、環境、社会、ガバナンスの要素を評価基準に含める点が特徴です。ESG投資は、企業の持続可能性や長期的な成長可能性を重視する投資家にとって重要な指標となっています。
ESG投資について

続いて、ESG経営と合わせて聞く機会の多い、ESG投資について解説します。
ESG投資とは
ESG投資は、投資判断において環境、社会、ガバナンスの要素を考慮する投資手法です。従来の財務指標だけでなく、企業の持続可能性に関する非財務情報を評価することで、長期的なリスクとリターンを見極めることを目的としています。ESG投資は、投資家にとって企業の持続可能性を評価する重要な手段となり、企業のESGパフォーマンスが良好であるほど、投資対象としての魅力が高まります。
ESGスコアと評価機関
ESGスコアは、企業の環境、社会、ガバナンスに関するパフォーマンスを数値化したもので、投資家が企業の持続可能性を評価する際の指標として用いられます。ESGスコアは、第三者の評価機関によって算出され、企業のESG活動の透明性や信頼性を高める役割を果たします。代表的な評価機関には、MSCI、S&Pグローバル、Sustainalyticsなどがあり、各機関は独自の基準で企業のESGパフォーマンスを評価しています。
ESG経営のメリット

続いて、ESG経営を行うメリットについて詳しく解説します。
投資家からの評価が向上する
ESG経営を実践することで、企業は投資家からの評価を向上させることができます。投資家は、企業の持続可能性を重視する傾向が強まっており、ESG要素を考慮した投資判断が一般的になっています。企業がESG経営を推進することで、投資家からの信頼を得やすくなり、資金調達の面でも有利に働くことが期待されます。
ブランドイメージが向上する
ESG経営は、企業のブランドイメージを向上させる効果が期待できます。環境や社会に配慮した経営は、消費者からの支持を集めやすく、企業の社会的責任を果たす姿勢が評価されます。特に、消費者が企業の持続可能性に関心を持つようになっている現代において、ESG経営は競争優位性を高める重要な要素となります。
経営リスクの軽減につながる
ESG経営は、企業が直面するさまざまなリスクを軽減する手段としても注目されています。環境規制の強化や社会的な圧力、ガバナンスの不備によるリスクを事前に把握し、対応策を講じることで、企業は予期せぬリスクを未然に防ぎ、持続可能な成長を実現すること期待されています。
労働環境の整備が促進される
労働環境の改善は、企業の持続可能な成長に直結する重要な要素です。また、企業が社会的責任を果たすためには、従業員の働きやすい環境を整えることが必要になります。働きやすい環境を整えることで従業員のモチベーションや生産性が向上すれば、企業全体のパフォーマンス向上が期待できます。
ESG経営の課題

続いて、ESG経営を進める上での課題や注意点について解説します。
初期コストの増加
初期コストの増加も大きな課題です。ESG経営を実現するためには、従業員の福利厚生の改善やテレワーク体制の構築、さらには環境に優しい資材への変更など、さまざまな取り組みが必要です。これらの取り組みは、初期投資が大きくなる可能性があります。しかし、これらのコストは長期的には企業の効率性や持続可能性を高めるための投資と捉えられます。企業は、これらのコストをどのように管理し、どのようにリターンを得るかを慎重に計画する必要があります。
中長期的な目線・取り組みが必要
まず、重要なのは中長期的な視点を持つことです。ESG経営は、短期的な利益追求よりも長期的な持続可能性を重視します。上記のように、初期コストがかかることもあり、短期的には利益が減少する可能性がありますが、長期的には企業の競争力やブランド価値を向上させることが期待されます。企業は、短期的な利益減少を許容しつつ、持続可能な成長を目指す姿勢が求められます。
ESG経営の事例

最後に、ESG経営の事例をご紹介します。
花王株式会社
花王は2019年に「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、ESG視点での製品開発を推進しています。この計画では、プラスチックの使用削減やリサイクル技術の革新、そして社会的価値の創造を目指したソーシャルイノベーションに注力しています。具体的な取り組みとして、プラスチックボトルレス化や廃棄物ゼロ化、Fine Fiber技術の開発などが挙げられます。これらの取り組みを通じて、花王は持続可能な社会の実現に向けたリーダーシップを発揮し、グローバルな存在感を高めています。
まとめ
本コラムでは、ESG経営について幅広く解説してきました。ESG経営は、企業が持続可能な成長を実現するための重要な戦略として、ますます注目を集めています。
また、これからESG経営に取り組む企業にとっておすすめしたいのが、企業ミュージアムの設立です。企業ミュージアムは、ESG経営の一環として自社の取り組みを社内外にわかりやすく伝える効果的な手段であり、マーケティングやブランディング、営業活動においても大きな役割を果たします。企業の価値観やビジョンを具体的に示すことで、ステークホルダーとの信頼関係を築く助けとなるでしょう。
丹青社では、創業以来70年以上にわたり、各業界のリーディングカンパニーや、自治体、
官公庁などの空間づくりを手がけてきたノウハウを活かし、コミュニケーションやブランド訴求の拠点となる企業のPR 施設をはじめ、博物館や科学館などの文化施設、店舗などの商業施設といった、人やモノや情報が行き交うさまざまな空間づくりを企画から設計、制作、運営までを一気通貫で行います。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。