企業メセナとは?活動の概要から取り組み、事例まで解説
Date: 2025.07.17

今回は、企業メセナの活動の概要から取り組み、事例まで解説します。これからメセナに取り組もうとされている場合に参考にされてください。
目次
企業メセナとは?

メセナとはフランス語で「芸術文化支援」を指し、主に企業が資金提供により、文化活動や芸術活動の支援を行うことを指します。
ローマ帝国時代にはじまったとされ、メセナ活動自体は世界的に進められてきました。日本においては、1988年のサミットでフランスのメセナ活動が注目されたことをきっかけにメセナ専門の中間支援機関として企業メセナ協議会が設立され、日本企業がメセナ活動に積極的な姿勢を見せるようになったといわれています。
企業メセナを取り巻く潮流や背景

企業がメセナに取り組む活動は、かつてのバブル景気の時代には、投資目的での活発な動きが見られましたが、バブル崩壊後は規模が縮小し、活動自体が落ち着いていました。
そして近年になり、社会的な要請が変化したことから、CSR(社会的責任)活動へ取り組む目的としたメセナの様々な活動が復活してきました。企業価値の創出が問われる昨今、芸術文化の振興のみならず、企業や事業の価値創出のために行われることも増えてきています。
企業メセナに取り組む目的・意義

企業メセナに取り組む目的や意義には、次のことが挙げられます。
芸術・文化を通じた社会支援
芸術・文化の支援活動は、その分野の振興のみならず、教育や福祉、環境、地域など幅広い分野の社会支援につながります。SDGsの目標達成に向けた持続可能な社会づくりへの貢献にも寄与するメリットもあります。
芸術・文化による地域課題解決
少子高齢化が進む日本において、地域社会への貢献を通じた活性化は大きな意義をもたらします。地域経済の低迷、過疎化などさまざまな課題を、メセナを通じて解決できます。
企業としての価値創造
メセナ活動は企業やブランドの認知度向上につながります。その結果、企業としての価値創造も果たすことができるでしょう。特に地域における価値向上の効果は高いものが見込めます。
企業メセナの取り組み・活動例

企業メセナを実践する場合の活動の具体例を見ていきましょう。
文化・芸術活動の主催
美術展やアートフェスティバル、音楽イベントなどの文化・芸術活動を主催する、もしくは資金援助する取り組みです。
ミュージアム施設の設立・運営
地域社会への貢献を目的に企業ミュージアムを運営する取り組みです。見学を通じて芸術や文化の魅力を伝えるほか、体験型ワークショップなどの開催も含みます。
資金援助
芸術を支援するNPO団体などに資金援助する取り組みです。
非資金援助
芸術イベントなどへの人的支援、運搬や保管などのサポートなど、資金以外の援助を指します。
企業財団
芸術文化分野の基金を出して財団を設ける取り組みです。
企業メセナの活動事例

企業メセナの活動は、実際にどのように行われているのでしょうか。それが分かる事例をご紹介します。
企業が展示で教育機会を提供
スイスの大手食品・飲料会社は、自社の製品ではなく、「食」全般をテーマにしたミュージアムを展開しています。食の世界を表現した常設展と、食の側面を年ごとに変えて取り上げる企画展、庭園の3種で構成されています。子どもの料理体験から伝統料理を学ぶ料理教室などのワークショップまで、年齢問わず楽しめる企画も提供し、教育機会の提供を通じて貢献しています。
地域貢献プログラムを提供
フランスの業務用チョコレートメーカーは、メセナ活動の一環として、一般向けにチョコレートについて学べる場を、企業ミュージアムを通じて提供しています。
五感を刺激される展示や料理ワークショップに加え、困難な状況にある若者や病気やハンディキャップを抱える子どもを対象とした、地域・社会貢献への意識の高さが見てとれるプログラムも提供しています。
学校向けの教育プログラムを搭載したミュージアム
イタリアの有名車メーカーが運営するミュージアムでは、ミュージアムの展示を通じて、学校のカリキュラムや年齢に合わせて、楽しく学べるよう構成された学校向け教育プログラムを展開しています。
歴史や製品の紹介はもちろんのこと、技術や仕事のチームワーク、マーケティングなどにも触れられる貴重な学びの機会を提供しています。
まとめ
メセナ活動は、近年高まる企業のCSRへの取り組みに合致する、企業価値を高める魅力的な取り組みです。
企業ミュージアムはメセナ活動に親和性のある取り組みです。地域や社会貢献の一環として、取り組んでみるのはいかがでしょうか。もし企業ミュージアムの設立をご検討される際には、ぜひ丹青社にご相談ください。