コラム

周年事業とは?国内事例のご紹介│
ブランディングが効果的な理由

Date: 2023.05.09

企業における周年事業とは、会社の創立・設立から節目のタイミングを迎えた際に、これまでの企業の歴史を振り返り、今後の企業の継続を祝うためのイベントを指します。主に周年事業は、10周年、30周年、50周年などの大きな節目に行われ、周年事業を行う間隔としては、5年単位、10年単位での実施が多いです。記念イベントとしての意味合いが強く感じられる周年事業ですが、社内外を対象とした格好のブランディングの機会でもあります。そのため、ブランディングを意識した周年事業を行うことで、数年~十年に一度しか訪れない貴重な契機を活かすことができます。
今回は、周年事業におけるブランディングの重要性や進め方、国内における周年事業の事例、おすすめのブランディング手法をご紹介します。
周年事業に企業ミュージアムを設立!

お客様の声をご紹介

周年事業とは?

周年事業とは、会社や団体が創立・設立から特定の年数が経過したときに、社内や社外を対象として行う記念イベントやプロジェクトのことを指します。

周年事業は、創立から10周年、30周年、50周年など節目を迎えるタイミングで、式典や記念パーティーなどのイベント、記念品配布、社史や記念誌の発行、講演会・セミナー、社員旅行、周年記念キャンペーンなど、企業によって実施内容はさまざまです。

周年事業は、記念やお祝いの機会だけでなく、企業や団体のブランディングを行う機会でもあります。周年事業をきっかけとして、社外に対しては企業イメージの向上や新たな顧客層の開拓にもつながります。

社内にとっては、企業や団体の歴史と成長を振り返る機会となるのはもちろん、将来に向けた新たなビジネスの展望を模索するためのきっかけにもなります。また周年事業は、社内でプロジェクトを立ち上げて企画と運営を行い、周年事業の成功という一つの目標に向かって社員が協力することで、社員同士のコミュニケーションの活性化や一体感が生まれることとなります。

会社として掲げているビジョン・ミッション・バリューや、経営理念などを、周年事業をきっかけに改めて見直すことで、今後の会社としての目標や方針を明確化し、再出発する機会ともなります。

また、ブランドや企業のそれまでの歴史を振り返る貴重な機会でもあります。

目的/パターン別に見る周年事業

目的/パターン別に見る周年事業と称して、社内向けと社外向けの周年事業の違い、BtoB企業とBtoC企業の周年事業の違いをそれぞれ解説いたします。

 

社内向と社外向けの違い

社内向けの周年事業は、従業員や関係者を対象にしています。
その主な目的は、社員の士気を高めること、企業文化を育むこと、そして社員間のエンゲージメントを強化することです。この種のイベントや活動には以下のようなものがあります。

・社内パーティーや懇親会:
従業員が非公式な環境で交流し、会社の節目を祝います。

・表彰式:
長年勤務している従業員や優秀な成績を収めた従業員を表彰することで、彼らの貢献を称えるとともに、他の従業員にも刺激を与えます。

・社内コミュニケーション:
社内報やメールニュースレター、社内SNSなどを通じて、創業の歴史や過去の成功事例を共有し、社員の一体感を醸成します。

・ワークショップや研修:
社員のスキルアップを図るとともに、企業の将来に向けたビジョンを共有します。

社外向けの周年事業は、顧客、投資家、業界関係者、メディア、一般社会など、企業の外部ステークホルダーを対象にしています。こちらの目的は、企業のブランドイメージを向上させること、市場での地位を確固たるものにすること、そして新たなビジネスの機会を創出することです。外部向けのイベントや活動には以下のようなものがあります。

・記念イベントや式典:
企業の重要なマイルストーンを公に祝い、企業の歴史や成果をアピールします。

・プレスリリースやメディアイベント:
メディアを通じて企業の周年を広く知らせ、企業の知名度や信頼性を高めます。

・CSR活動や地域貢献:
社会に対する貢献活動を通じて、企業のポジティブなイメージを構築します。

・記念製品やサービスの発表:
周年を記念した新製品やサービスを発表し、顧客の関心を引きつけます。

 

BtoB企業とBtoC企業の違い

〇BtoB企業の周年事業の目的

関係強化
BtoB企業は取引先やパートナー企業との長期的な関係構築が重要です。周年事業では、これまでの取引の感謝を示し、信頼関係を強化することが目的になります。

ブランドイメージの構築
長い歴史や実績をアピールすることで、企業の信頼性や専門性を強調し、ブランドイメージを向上させることができます。

企業文化の発信
企業の理念や文化、社会への貢献などをアピールすることで、企業価値を高めることができます。

〇BtoC企業の周年事業の目的

消費者とのエンゲージメント
BtoC企業は直接消費者と関わるため、周年事業を通じて消費者との関係を深めることが重要です。記念キャンペーンやイベントを通じて顧客ロイヤルティを高めることが目的になります。

プロモーション
周年を利用したセールや限定商品の販売などを行い、消費者の購買意欲を刺激します。

ブランド認知の拡大
周年を機にメディア露出を増やし、ブランド認知度を高めることが目的です。広告キャンペーンやSNSを活用したプロモーションが行われます。

〇両社の共通点と相違点

どちらも周年という節目のタイミングでその歴史を祝う機会となり、長年にわたるビジネスの成功を強調することで信頼と実績をアピールする場となります。
相違点としては、主にターゲットになりますが、BtoBは関係性の深化やビジネスチャンスの拡大に焦点を当て、BtoCは消費者とのエンゲージメントやブランド認知の拡大に重点を置くことが一般的です。

周年事業の主な目的

周年事業の目的は主に以下の6つです。周年事業の対象者によって目的や周年事業の内容が変わるので、予め目的を明確にしておきましょう。

1.感謝を伝える
周年事業は、顧客、従業員、株主、パートナーなど、組織の成功に貢献したすべての人々に感謝の意を示す機会でもあります。特別なイベントやキャンペーンを通じて、これらの人々に対する感謝のメッセージを伝えることができます。

2.歴史の振り返り
周年事業では、組織や企業が設立されてから特定の年数が経過したことを祝い、その歴史や達成を振り返ることで、改めで自社の強みや価値を再認識することができます。

【関連コラム】会社年表の作り方〜作成前に押さえておくべきポイントとは?

3.社内活性化
周年事業を社内向けに設定にし、社内活性化を図るケースが増えています。近年は、人材確保が難しくなっていることもあり、人材流出を防ぐために、働く価値や意義を意識してもらう機会とすることもできます。

【関連コラム】社内コミュニケーションがもたらす効果-成功事例のご紹介

4.プロモーション
周年事業は、組織のブランドや製品を再度宣伝し、新しい顧客を引きつけるための絶好の機会でもあります。記念日のセールや新製品の発表などを通じて、組織のビジネスを促進することができます。

5.リブランディング
周年という特別なタイミングで企業の新たなビジョンやミッションを示し、社内外に新たな方向性を伝えるためには、周年事業は良い機会となります。

リブランディングとは?老舗企業のイメージを変える方法

6.社会貢献
企業が設立された周年を記念して、社会に対して何らかの貢献活動を行うことがあります。企業として社会的な役割や責任を果たす一環として行われることが多く、活動の内容は多岐にわたります。
具体的には、地域社会への支援、環境保護、社会福祉の向上などがあります。社会貢献を通して社会的な役割を果たすと同時に企業のブランドイメージを向上させることにつなげることができます。

企業が社会貢献を行う理由とその効果とは?

周年事業にブランディングが効果的な理由

周年事業において、ブランディングを意識して実施することは非常に重要です。なぜブランディングがそこまで重要なのでしょうか。主な理由を3点ご紹介します。

1.多くの人が注目する機会
周年事業は企業や団体の歴史的なマイルストーンであり、その節目を記念する式典やイベントに多くの人が注目するという貴重な機会です。多くの人に企業や団体、ブランドの存在価値をアピールできます。

2.周年事業によるブランドイメージ向上で認知度向上につながる
周年事業で行う各プロジェクト全体を通じてイメージを統一し、ブランドイメージを高めることで、企業や団体およびブランドの認知度を向上させやすくなります。

3.新たなビジネスチャンスをつかむきっかけになることも
周年イベントなどによって社外から注目され、イメージや認知度が向上すれば、新たな見込み顧客から注目され、これまでになかったビジネスチャンスをつかむことができる可能性もあります。

これらのことから、周年事業は、ただの記念として定例的に行うだけでなく、ブランディング視点を持って進めることで、有意義な成果につながると考えられます。

周年事業の進め方とスケジュール管理のポイント

実際に、周年事業を進める際には、どのような流れで行うのが良いのでしょうか。長い場合は3~5年ほど準備に時間がかかるケースもあるため、順序よく計画を立てて実施していくことが大切です。そこで、周年事業の一般的な進め方とスケジュール管理のポイントをご紹介します。

 

周年事業の進め方

1.目的・コンセプト、予算決定
まずは周年2〜5年前くらいから周年事業の目的やコンセプトなどの大筋を検討して固め、予算も決めます。

2.体制づくり
周年プロジェクトを具体的に設計するに当たって、チームの体制づくりが必要になります。

3.設計
策定したコンセプトをもとに具体的に各企画を立案し、設計していきます。

4.計画実行
企画に基づいて計画を実行し、準備を進めていきます。

5.実践
周年の時期が来れば記念式典や講演会、Web上でのPR、施設の設置・オープンなど計画通りにプロジェクトを実施していきます。

 

スケジュール管理のポイント

周年事業のスケジュールは、先述の通り、3〜5年ほどの長期間かかることから、スケジュールは計画を立ててその通りに実施していくことがポイントです。
その際に、長期の準備期間中に予測ができない事態が発生したとしても、柔軟に対応できる現実的なスケジュールを立てておくことをおすすめします。

また、スケジュールも含めた各プロジェクトの実施内容を事前に全社員に周知し、同意を取っておくことも大切なポイントです。同意があるかないかによって、プロジェクトが計画通りに進むかが変わってくるためです。社内周知のスケジュールもしっかり組み込んでおきましょう。

周年事業実施にあたっての注意点

周年事業を実施するにあたっての注意点をご説明します。

1.予算管理
周年事業は大規模なプロジェクトになることも多く、それに伴い予算が大きくなる可能性があります。

2.スケジュール管理
計画から実施までに多くの時間を要することが多く、何年も前から計画を立てて進める必要があります。プロジェクトが決まったら、段階的にスケジュールを立てて定期的に見直しをかけることが大切です。

3.コンテンツの質
周年事業は企業のブランドイメージを高めることができる一方、質が低ければその分イメージがマイナスになってしまうことも考えられます。

4.コミュニケーション
周年事業はプロジェクトに関わる人も多くなり、準備段階では密なコミュニケーションが求められます。またイベントを開催し、取引先を招く場合は、イベントの進行だけに気を取られず、参加者とのコミュニケーションに意識を向けることも重要となります。

周年事業の国内事例をご紹介

周年事業を計画する際には、他社事例を複数確認しておくと柔軟なアイデアが出てくるものです。そこで、周年事業の国内事例の中でも、ブランディングに成功した事例を2つご紹介します。

 

100周年記念でロゴ刷新などのブランドリニューアル

ガス事業を行うある企業は、100周年記念を契機にブランドリニューアルを行いました。具体的には会社のロゴとユニフォームを変更しました。

周年事業には5年以上前から準備に取り組み、経営理念を社員の選抜メンバー主体で策定するプロジェクトや、策定した経営理念の共有会、100周年記念特設サイトやブランド映像、会社の歴史映像、ノベルティの制作など、さまざまな周年施策を展開しました。

100周年記念特設サイトには、新たなロゴをデザインしたデザイナーの意図を掲載するなどしてブランディングを強化しています。

結果、ステークホルダーから良き反響を受けたほか、顧客からは今後も付き合っていきたいとの手紙をもらったりするなど、より良いブランドイメージの定着が実現したようです。

 

社歌を制作して記念式典で斉唱

ある化学薬品メーカーは、75周年の周年事業を行うに当たり、周年記念として新しい社歌を制作しました。記念式典では、社員が作成した周年記念ポスターを掲示し、式典のために制作したオープニング映像が披露されました。さらに、新しい社歌は歌詞の解説後、参加者全員による斉唱で幕を閉じました。

このように周年を契機に社歌を制作するということは、近年、新しい取り組みとして注目されています。社歌は社員のモチベーションを高める効果がありますが、周年事業というタイミングで新たに制作するということから、大きなブランディング効果が期待できます。

映像として社歌を社外に配信したり、その歌詞の意味を広告やWebサイトで紹介するなどすれば、さらに印象深くブランディングが行えると考えられます。

【関連コラム】周年事業とは?海外事例3選をご紹介

周年事業に企業ミュージアムの設立が効果的

周年事業でブランディングを行うためには、さまざまなアプローチ方法があります。そのなかでも企業ミュージアムの設立は、ブランディングとしての大きな効果が期待できる方法です。

企業ミュージアムとは、企業の歴史や商品などの展示を行う博物館・美術館の要素を持つ施設です。企業ミュージアムではリアルな展示体験を提供することで、
それまでの歴史・伝統を踏まえた魅力を社内外に発信することができます。
製品や技術とリンクさせながら歴史を紹介したり、創業者や過去の経営者、社員の想いを様々な方法で表現できるため、人々により多くのメッセージを伝えられます。

周年事業を機に設立することで、注目を集めやすくなることから、ブランディングとしての波及効果がより高くなると考えられます。その後も継続して活用し、ブランディング活動の拠点としていくことも期待できます。

企業ミュージアム設立は周年事業でブランディングを検討する際には、おすすめしたい手法です。

周年記念施設で歴史や伝統を紹介し、企業の魅力を伝える

まとめ

周年事業は、企業や団体のブランディングを行う大いなるチャンスといえます。その手法として企業ミュージアムの設立をブランディングに活用したいとお考えの場合は、ぜひお気軽に丹青社にご相談ください。

丹青社では、企業ミュージアムの企画、設計、制作、運営を一気通貫でお手伝いしております。企業ミュージアムによって、ブランディングを成功させた事例も数多くあります。その実績をもとに、周年事業におけるブランディングのサポートをさせていただきます。

無料お役立ち資料

関連するコラム