コラム

企業における空間体験とは?重要なポイントや事例などをご紹介

Date: 2024.12.11

近年、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などデジタル技術の進化が急速に進んでいます。そんな中、デジタルと物理的な空間の統合により、博物館や商業施設、ショールームにオフィスなど、さまざまな空間の形とそこで生まれる体験が進化しており、空間を再設計している企業が増加傾向にあります。
そこで、本コラムでは現代における空間体験とは何か、またどのように変化しているか、企業における空間体験の概念やその重要性について解説し、具体的な事例も紹介していきます。

企業における「空間体験」とは?

はじめに、企業における空間体験について解説していきます。

企業における空間とは

企業における「空間体験」とは、物理的な空間とその空間での体験を組み合わせた概念です。「空間」は、オフィス、ショールーム、展示会場など、企業が顧客や社員と直接接触する物理的な場所を指し、「体験」はその空間内での活動や感情、インタラクションを意味します。例えば、ショールームでの製品デモや、オフィス内でのコミュニケーションなどが該当します。

空間体験の重要性

「空間体験」は、企業にとって多くの役割を果たします。具体的には企業や商品、サービスの魅力やアイデンティティを伝えることや、顧客や社員に対する企業のイメージやブランド価値を高めること、空間での体験を通じあらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを図るメディア(媒体)となることなどが挙げられます。

また、現代のビジネス環境では、デジタルと物理的な空間の統合が進んでおり、企業の競争力を高める要因にもなっており、さまざまな場面で空間体験を最適化することが求められています。

空間の種類

企業が関わりうる空間には多くの種類があり、その目的や利用シーンに応じて様々な種類があります。以下にて主要な空間の種類について説明します。

商業空間

商業空間は、主に小売店やショッピングモールなどの商業施設を指します。照明や内装の色使いなどで顧客の購買行動が高まるような工夫や、顧客が自然と店舗内を回遊するような導線設計が求められます。
商業空間の実績一覧

ビジネス空間

ビジネス空間は、オフィスや会議室などの業務を行う場所を指し、効率性と快適性が求められます。オープンオフィスを導入することで、コミュニケーションの活性化を図ったり、リラックスできる休憩スペースを設けることで、従業員のストレス軽減に寄与したり、といったことが実現できます。
>ビジネス空間の実績一覧

パブリック空間

パブリック空間は、公園や図書館、公共施設などの公共の場を指し、誰もが利用しやすいデザインが求められます。バリアフリー設計はもちろん、視覚的に分かりやすいサインの設置などがその一例です。
>パブリック空間の実績一覧

ホスピタリティ空間

ホスピタリティ空間は、ホテルやレストラン、カフェなどのサービス業を指します。訪れる人々に心地良さや、特別な体験をして頂ける環境を提供することが求められ、照明や家具の配置、音楽の選定や、インテリアデザインにおいても、高級感やテーマ性を持たせることで、特別な体験を提供することができます。
>ホスピタリティ空間の実績一覧

イベント空間

イベント空間は、展示会やコンサート、スポーツイベントなどの一時的な用途に使用される場所を指します。イベントのテーマや目的に合わせた柔軟なデザインが求められ、視覚的にインパクトのある装飾や、音響設備の配置などが重要です。
>イベント空間の実績一覧

文化空間

文化空間は、美術館や劇場、博物館などの文化施設を指し、展示物や公演の内容を引き立てるデザインが求められます。具体的には、照明の調整や、展示物の配置、観客席のレイアウトなどがその一例です。また、訪れる人々が文化や芸術を理解できるような工夫も重要です。
>文化空間の実績一覧

デジタル・バーチャル空間

デジタル・バーチャル空間は、VRやAR、MR、メタバーズ等、デジタル技術を活用した仮想空間を指します。主にゲーム業界で発展してきましたが近年、博物館や展示会などのイベント、買い物や商業取引など様々な場面で活用されています。

>仮想空間(メタバース)とは?今知るべきデジタル空間の基礎知識

空間が創り出すさまざまな「体験」

続いて、空間が創り出すさまざまな体験を解説していきます。

エンターテインメント

空間が創り出す体験で、訪れる人々に驚きや感動を提供することができます。例えば、テーマパークや映画館では、視覚と聴覚を刺激するために高度な照明や音響設備が使用されており、高い没入感を生み出しています。インタラクティブな要素も取り入れることで、来場者が自ら体験に参加できる仕組みが導入されているケースもあります。このような工夫により、単なる鑑賞たけでなく、さらに深い体験と刺激を創り出し、エンターテインメント性を高めています。

コミュニケーション

空間体験は、コミュニケーションの促進にも役立ちます。オフィスの共用スペースやカフェなどでは、人々が自然に会話を楽しむことができるようにするため、家具の配置や照明を工夫することで、リラックスした雰囲気を演出しています。さらに、オープンなレイアウトや多目的スペースを設けることで、偶然の出会いや新しいアイデアの創出が期待できます。

学習

空間体験は、知識の吸収と理解の促進にも寄与します。例えば、医療施術において、実際の人体を用いたトレーニングは困難を極めますが、仮想空間では可能です。また、製造業の機械操作においても、トレーニングを仮想空間で行うことで、安全性を保ちながら反復練習や技術習得が可能になります。

快適性

空間体験では、訪れる人々に心地よさとリラックスを提供することもできます。ホテルやスパなどでは、温度や湿度の調整、柔らかな照明、そして香りなどが快適な環境を作り出します。また、自然素材を使用したインテリアや、緑を取り入れたデザインは、視覚的なリラックス効果をもたらします。

体験を生み出す空間づくりの事例

最後に、丹青社が手掛けた空間づくりの事例を4つに分けて、ご紹介します。

1.三井ショッピングパーク ららぽーと富士見

ららぽーと富士見は、「人・モノ・文化が交差する新拠点~CROSS PARK~」というコンセプトで開発された3フロア・293店舗の東武東上線エリア最大級となる大型ショッピングセンターです。「Park Experience」をテーマに、施設内で公園や広場にいるように感じられ、買い物の間のちょっとした休息や子どもたちが遊ぶことができる空間です。

施設全体に、マーチャンダイジングと連動させた様々なファニチャーや植栽を設置し、飽きさせない館内のレスト環境を実現。全て異なるタイプのファニチャーを設置し、形状・デザインの選定一つ一つにこだわることで、施設空間全体の価値を更に向上させました。また、フードコート内に子どもたちを対象にした飲食スペースや、キッズテラスという主に子ども向けのレストスペースにブランコや芝山を設置。子どもたちにとっても嬉しい空間を創りあげました。

>三井ショッピングパーク ららぽーと富士見の事例詳細はこちら

2. ヤンマーミュージアム

ヤンマー創業100周年記念事業の一環として2013年にオープンしたミュージアムを、同社のリブランドプロジェクトのクリエイティブディレクターを務める佐藤可士和氏を総合プロデューサーに迎え、「やってみよう!わくわく未来チャレンジ」をコンセプトに一新。既存の建築を一部増築し、コンテンツについてはほぼ全面リニューアルしました。

空間づくりと並行し、ミュージアムのすべてのコンテンツをテーマ設定から企画・開発・制作まで、一貫したプロデュース/ディレクション体制で推進することにより、コンセプトを的確に具現化したコンテンツ制作を実行しました。また個々のコンテンツをポイントシステムによって連携させることで、子どもたちがより多くのコンテンツに積極的にチャレンジしたくなる仕組みを構築しました。

>ヤンマーミュージアムの事例詳細はこちら

3. 静岡県富士山世界遺産センター

建物の外観は「逆さ富士」の形状で、前面の水盤に映ると「富士山」の姿が現れます。「逆さ富士」の内部は展示棟となっていて、1階から5階まで全長193mの緩やかならせん状のスロープを上りながら、それぞれの標高による富士山の景観を大パノラマ映像で楽しむことができます。

事業主である静岡県、建築設計者や展示監修者とワークショップを繰り返しながら、富士山の価値を伝えることの方法論を徹底的に議論しました。検討の末採用した、来館者が登山のように建物を上りながら様々な展示体験をしていく構成と演出は、シンプルで且つインパクトがあり、4Kシアターやテーマ展示と合わせて、文字や解説に頼らない体感的な展示が実現しました。多彩な映像演出を用いて視覚的に伝えることで、海外からの観光客や子どもでも楽しく理解を深めることができる工夫を施しています。

>静岡県富士山世界遺産センターの事例詳細はこちら

4.いすゞプラザ

いすゞ自動車創立80周年記念事業として藤沢工場の隣接地に開館された施設です。日常生活の中での商用車との関わりをジオラマから学べる“「運ぶ」を支えるいすゞ”、トラックができるまでの工程を展示した“いすゞのくるまづくり”、歴代の車両を時代背景と共に紹介する“いすゞの歴史”の3つの展示ゾーンで構成されています。いすゞのものづくりに対する姿勢も知ってもらい、いすゞをより身近に感じられる施設を目指しています。

解説ではテキストやモニター映像に加え、実物の車体・部品・工具類も展示し、より理解が深まるよう工夫しています。また、ものづくりの現場を体感してもらうため、トラックづくりの工程を楽しんで学べる体験型展示を充実させました。館内展示やジオラマに使用されているミニチュアカーの一部は、いすゞの実車の3Dデータをもとに制作するなど、細部までこだわりをもって取り組みました。

>いすゞプラザの事例詳細はこちら

まとめ

企業における空間体験は、その目的や利用シーンに応じて様々な方向性があり、あらゆる役割を果たします。「企業の歴史や魅力を伝える施設をつくりたい」「デジタルを取り入れた空間がつくりたい」などご希望がございましたら、一度、空間づくりのプロへ相談してみるといいかもしれません。

丹青社では、創業以来70年以上にわたり、各業界のリーディングカンパニーや、自治体、
官公庁などの空間づくりを手がけてきたノウハウを活かし、コミュニケーションやブランド訴求の拠点となる企業のPR 施設をはじめ、博物館や科学館などの文化施設、店舗などの商業施設といった、人やモノや情報が行き交うさまざまな空間づくりを企画から設計、制作、運営までを一気通貫で対応します。
体験を生み出す空間体験づくりなら、ぜひ丹青社にお問い合わせください。

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