今回は、こうした自社の技術力をブランディングする手法である技術ブランディングの概要や目的、方法、成功事例をご紹介します。
目次
- 「BtoBメーカー」
- 企業ミュージアム・ショールーム事例集
技術ブランディングとは
技術ブランディングとは、企業や製品が持つ技術力をブランド化し、顧客に認知させるためのブランディング戦略手法を指します。
技術力の高さを広く訴求することで競合他社との差別化を図り、市場における競争優位性を獲得することが技術ブランディングの主な目的です。
技術力は、一般的に顧客にとって見えにくく、認知や理解がされにくいケースが多いです。
だからそこ、企業や製品の技術力をブランドとして可視化し、顧客にわかりやすく伝える技術ブランディングは、製品の認知拡大や購買促進を図るうえで重要な戦略といえます。
技術ブランディングの目的
製造業における技術ブランディングの目的は、企業によって異なりますが、一般的には次のことが考えられます。
競合他社との差別化
技術ブランディングによって、自社製品が他社製品よりも技術的に優れたものであることを伝えることができます。これにより、顧客の商品選定時に、自ずと技術力の高さが印象として残り、確かな信頼を持って選んでもらうことができます。
新規顧客の獲得
技術的な優位性などをアピールすることで、新規顧客の獲得につなげることも可能です。例えば顧客が売り場で複数商品の中から一つを選ぶ際に、技術ブランディングが巧妙な企業の商品をあえて選ぶ意識が働き、初めて購入するブランドの商品であっても手に取る可能性があります。そうなれば、新規顧客創出にもつながります。
既存顧客のロイヤリティ向上
最新技術や新製品などを継続的にアピールすることで、企業やブランドに対する顧客の愛着や信頼を表すロイヤリティが向上し、リピート購入や継続的な取引にもつなげることができます。
新規事業や新製品の導入を促進
新しい技術が使われた新製品などを市場に導入する場合、その技術力の高さや競合優位性を明確にし、ブランド化することで消費者の理解や受け入れを促進します。
技術ブランディングの重要性
技術ブランディングが重要な理由は、主にはインターネットの急速な普及により大量の情報が瞬時に入手できる環境が整備されたことが関係しています。誰でも商品やサービスの情報が得られるため、多くの情報の中から取捨選択をして購入の判断を決定する必要があります。
顧客が技術力の優れた企業の商品やサービスを購入したいと思っていても、技術力を認知、そして価値として評価してもらえなければ購入には至りません。日本には世界に誇れる高い技術力を持つ企業が多くありますが、技術力をブランド化できていない企業も多く存在します。技術力をブランド化することで、企業価値の向上にも繋がり、マーケティング戦略の観点からも必要不可欠な手法とされています。
また、技術ブランディングを確立することができれば、個々の商品でブランディングを図るよりも低コストで利益を得られる可能性もあり、中小企業にとっても有効な手法と言えます。
技術ブランディングの方法
製造業が技術ブランディングを実施するには、例えば次のような方法があります。
・Webサイトの最適化
自社の公式サイトやサービスサイトなどにおいて、製品や技術を文章や図解、イラスト、写真、動画、音声などを駆使して、まったく知識のない人にもわかるように表現します。興味のある人向けには、さらに詳しいコンテンツを掲載するページに誘導すれば、より技術力を示すことができます。
・SNSの活用
TwitterやInstagram、YouTubeといったSNSを活用し、投稿や画像、動画などで製品や技術を紹介します。SNSは拡散力がある媒体であり、消費者とより親近感のある状態で訴求ができるメリットがあります。
・イベントや展示会への参加
イベントや展示会へ参加し、展示物や来場者へのプレゼンテーションを通じて製品や技術を紹介します。現場に足を運ぶ人は、興味関心の高い人であると考えられるため、より詳細な内容の訴求に向いています。
・ショールームや企業ミュージアムの設立
ショールームや企業ミュージアムといった自社オリジナルの展示施設を設立する方法です。製造業では、製品の展示のみならず、その製品の製造工程の各種機械や活用されている技術などをより詳細に現物に近い形で展開し、認知・理解してもらうことが可能です。
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技術ブランディングの成功事例
製造業において、技術ブランディングに成功した事例を3つご紹介します。
Webサイトの最適化事例
ある製品の部品製造に関わる機器を販売している企業は、自社の公式サイトのトップページで、アニメーションを用いて大きく機器の技術を描き、視覚的にわかりやすく表現しました。言葉で説明しても理解がむずかしい技術もアニメーションで表現したことで、インパクトを与えると共に興味深く訴求しながら、技術の認知と理解を促すことに成功しています。
SNSの活用事例
ある機械の部品を製造しているメーカーは、FacebookとTwitterを運営していますが、部品の製造動画や独自開発のユニークな製品の紹介などを行っています。わかりやすく楽しい投稿により、一般消費者の興味を引くことに成功しています。
展示会への参加事例
ある製造業の企業は、集合展示会へ参加した際、展示ブース作りにおいて技術ブランディングを取り入れました。製品の優位性や製造フロー、ソリューション全体像を1枚にまとめた大型パネルを製作し、遠くからでも目立つように設置。製品や技術力が一目でわかり、キャッチコピーで訴求ポイントを印象的にアピールしたことで、詳細を知りたい来場者がブース内に入りたくなる仕掛けを実現しました。
企業向けに学術発表/一般ユーザー向けにマス広告
ある会社が開発した空気清浄技術は、メーカーなどの企業と一般ユーザーの双方に宣伝を行うことで認知を拡大しました。メーカーなどの企業に対しては、学術論文の発表など研究結果の発表を行い、一般ユーザーに対してはTV・新聞などのマス広告を行い、技術ブランディングに成功しました。
技術のライセンスを一般開放
アメリカのある総合化学メーカーは、自社で独自に開発した技術の認知度を高めるために、ロゴやブランド名を設けることを条件に加工技術を一般開放しました。その結果、認知は飛躍的に拡大し、現在もブランドを確立し続けています。
企業ミュージアムで自社の技術力を魅力的に発信した事例
技術ブランディングの方法の一つとしてご紹介したショールームや企業ミュージアムの事例を2つご紹介します。どちらも丹青社がお手伝いしたプロジェクト事例です。
ショールームの事例
ビジネス向けからコンシューマー向けまで幅広い製品を製造販売する日本のグローバル企業は、企業像や歴史、すべての製品・サービス・ソリューションを展開する世界の顔となるようなショールームを設立。ビジネス向け製品のフロアとコンシューマー製品の2フロアに分けて展開しました。
製品の体験を提供したほか、展示手法を工夫することで同社の技術力の高さを視覚化し、ビジネスパートナーが直感的に同社の優位性を体感できる展示にしました。例えばビジネス向けフロアでは、エッジをきかせた什器で製品の技術力の高さを表現したり、社会に膨大な数の製品を送り出してきたことを、独特のアートのような演出で表現した象徴展示を行ったりして工夫を凝らしています。
工場における製品展示室の事例
専門性の高い複数の業界向け機械を手がけるある企業は、新設した工場に製品の展示室を設置しました。国内外の顧客に加え、地域の学生など幅広いターゲットに対して世界に誇る製品・技術を有することをわかりやすく紹介するべく、印象深く伝えることを心がけました。例えば技術力の結晶である実物製品をシンボリックに展示することで、各コーナーのインパクトを最大限に引き出し、印象に残す試みを行っています。
- 「BtoBメーカー」
- 企業ミュージアム・ショールーム事例集
まとめ
技術ブランディングは、製造業が持つ優れた技術力を伝え、普及させていくために有効な手法です。さまざまなアプローチ方法がある中で、ショールームや企業ミュージアムを活用して表現することは、技術ブランディングの効果を最大限に引き出せる可能性を秘めています。
丹青社では、今回ご紹介した事例の他にも、さまざまな目的に合わせたショールームや企業ミュージアムづくりをお手伝いしております。
貴社の優れた製品や技術、そして技術力を最大限に伝える最適な方法を一緒に検討させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。
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