ヒストリーミュージアムとは?企業の歴史を伝える施設をご紹介
Date: 2024.07.01
目次
ヒストリーミュージアムとは?
ヒストリーミュージアムとは、主に企業が自社の歴史や製品、技術などを展示するために設ける施設である企業ミュージアムの一種もしくは一部です。一般的な企業ミュージアムは多くの場合、自社の歴史を展示しており、これがヒストリーミュージアムの代表的な例といえます。
企業がこれまでたどってきた創業・設立からの事業拡大、社会への価値提供、社会貢献に至るまでの軌跡を忠実に、わかりやすく、時にはドラマティックに展示することがヒストリーミュージアムの大きな特徴です。
ヒストリーミュージアムの役割
ヒストリーミュージアムには主に3つの役割があります。
ブランディング・認知度向上
現代に至るまで、時代の変遷の中でたどってきた軌跡を知ることは、ブランドや企業の理解促進および深化につながり、ブランディングや認知度向上に役立ちます。顧客や世間一般に対して、製品やサービス、企業などの歴史を通じた深い理解と認知によって、ブランドイメージを向上させることができます。また、社内に向けた「インナーブランディング」として、社員や関係各社に対しても効果が期待できます。
社員のエンゲージメント向上
上述のインナーブランディングにも関連して、ヒストリーミュージアムは社員のエンゲージメント向上にも役立ちます。社員のエンゲージメントは、理解度、帰属意識、行動意欲の3つの要素から成り立つといわれており、ヒストリーミュージアムは特に理解度、帰属意識を向上させる手段として適しています。
自社にまつわる歴史を知った社員は、企業のビジョンや方向性への共感度・理解度がより高まり、会社に対する愛着が増すことでしょう。それにより、自らの仕事への意欲が増し、社会へ良質な価値を届けようとする行動意欲の強化にもつながります。
顧客からの理解度・信頼性向上
顧客に対しては、自社がどのような軌跡で歩んできたのか、その不断の努力や発展の歴史をリアルに体感してもらえることで、理解度が向上するとともに自社や自社ブランド・製品、社員への信頼性も高まるでしょう。
ヒストリーミュージアムにおける展示のポイント
ヒストリーミュージアムにおいて、歴史を伝える展示のポイントをご紹介します。
ストーリーや構成を工夫する
単に「歴史を伝える」といっても、多種多様なアプローチがあります。年表、文章、写真、映像、空間演出などさまざまな手法がある中で、時系列で伝えるだけの単調な展開ではなく、歴史がもともと持つストーリー性を活用して構成を重視して展開することがポイントです。来場者に歴史の追体験とともに、心をゆさぶる体験を提供できるでしょう。
伝える歴史の取捨選択
数年程度から数十年、企業によっては100年以上の歴史があり、対象も企業全体から事業単位、製品・サービスなどがある中から、「何を選んで、どの年月の歴史を展示するか?」という取捨選択が最初の砦となります。伝えたいことは何か、また伝えたい理由や内容は何かをしっかりと吟味し、取捨選択と優先順位を決定することも重要なポイントです。
適した展示手法を用いる
取捨選択を行い、伝えたい歴史の対象を決定したら、それぞれに最適な展示手法を見つけましょう。例えば、製品の変遷を示すために実物を展示する、映像を撮影・編集し、シアターで歴史物語を見せる、展示空間そのものを時代ごとに区切り、順路を追って変遷をたどることができるようにするなどの効果的な手法があります。来場者に伝えたいことや印象を加味した、最適な展示手法を用いましょう。
ヒストリーミュージアムの事例
ここでヒストリーミュージアムの事例を見ていきましょう。歴史展示を行った3つの企業ミュージアムの事例をご紹介します。
1.オリンパスミュージアム
長年にわたり、事業を通じて社会貢献を続けてきた、その歴史と製品を分かりやすく、魅力的に見せる企業ミュージアムを設立しました。
ミュージアム内では、オリンパス全体の歴史と「科学・映像・医療」の3つの事業の歴史を分かりやすく紹介しています。エントランスから展示室へと進むにつれて、同社の歴史とシンクロさせ、ドラマティックに展開。エントランスには壁一面のタッチパネル式のデジタルサイネージを設置し、来場者自ら操作しながらガイダンスを楽しめる工夫がされています。
また、実際に製品に触れて体感できる仕掛けもあり、来場者だけが体験できる価値を提供しています。
2.サッポロビール博物館
前身である「開拓使麦酒醸造所」が開業してから140年もの歴史を展示するサッポロビール博物館では、その長年の歴史の中で生まれた功績をプレミアムシアターや12のブースで効果的に展開しています。
プレミアムシアターではワイド6K映像シアターを活用し、若者たちが情熱を傾けてビール造りにまい進する歴史物語を上映。展示では、説明員(ブランドコミュニケーター)が案内しやすいよう、トピックごとに独立したブースを構成し、開拓使の活躍や国産ビールの歴史など分かりやすく見せています。
3.いすゞプラザ
自動車メーカーいすゞとしての車づくりの歴史とものづくりの精神を深く学べる施設です。3つの展示ゾーンが設けられ、そのうちの一つが歴史を伝える「いすゞの歴史」です。普段の生活ではお目にかかれない希少な車づくりの歴史に触れることができます。
展示空間ではテキストやモニター映像による解説だけでなく、実物の車体や部品、工具類も展示し、より歴史や技術を肌で感じられるようになっています。「いすゞの歴史」においては、歴代の乗用車やトラックなどを実車とミニチュアカーを用いて、時代背景と共に印象的に紹介しました。
まとめ
ヒストリーミュージアムは、ただ企業の歴史を伝えるだけでなく、未来につながるブランディングや認知度、エンゲージメント、信頼性の向上などを見込める、企業にとって価値のある施策です。
ヒストリーミュージアムを含む企業の歴史展示を行う場合は、ぜひ丹青社にお問い合わせください。ご紹介した実績のほかにも、貴社に最適なさまざまな展示手法や展示空間づくりを行うことができます。
また丹青社では「VisualTiles®」という歴史展示をデジタルで効果的にサポートするツールを取り扱っております。壁一面にモニターを設置して展開したり、タッチパネル式で来場者が自由に操作することでより積極的な情報取得を促したりと、展示効果を高めることができます。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。